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第12号   NEWSLETTER   大阪地域医療ケア研究会   2006年2月20日発行


 

認知症の方のケアについて

 介護保険が発足した頃はご承知のようにグループホームというのは、非常に有言を持って語られました。当初2000年に発足する直前には、グループホームにはあまり点数をつけないという話しできたのですが、直前になって「やはりグループホームはいいのではないのか」とかなりの多くの国民が大きな期待を抱いたのです。結果としてグループホームに対してある程度、報酬が出るという事になりました。ただ、認知症のケアについては、はっきり言ってデッドロックに乗り上げていると思います。かなり症状が悪くなった人達を、いかに処遇していくかについて何か知恵をだす。という事を全国的に求められてきて、私が知る限り次の夢を抱かせていける事例はあまり聞いておりません。
 一方で、認知症でない方に関しては、予防を一生懸命やって、いままでは予防しないとか、要介護度があがってある程度収入が入ってきて安定していくという事であった。だけどそれは、まずいから、一生懸命やる人はいろんな方法を考えて、少しでも要介護度がなくならないように、少しでも悪化を防ぐという努力をする。そしたら、ある程度それに対して、受け入れられる方法を考えようという事になってきていると思います。

医療費の動向

 医療に関しては、高齢者の伸びという事についてお話しさせていただきたいのですが、あと5年は、75歳以上の人口がすごく増えます。でも、これを乗り切るとちょっといきつきます。ですから、なんとかこの5年を乗り切るという事がとても大切なのです。
 高齢者ひとり一人に対して、もっといい世話をできたら良いと思うがそれはある程度経済の状況を考えると無理な場合もある。しかし、高齢者が増える事に伴って、このサービスをトータルに増やさないといけないことぐらい国民みんなで覚悟して、それを分かち合ってお金を払っていこう、というキャンペーンをするべきではないでしょうか?でも、しないでむしろ、いたずらに高齢者と若い人の対立を煽るようなことをやっているというのが現状です。私は、高齢者の伸び分に関してはみんなで分かち合いましょうという同意を、7,8割りがた大丈夫と思っていますが、それを9割くらいまでもっていく事ができるとそれは随分、介護のあり方や考え方が変わると思っています。でもある程度、経済の余裕との関係で見ていく必要もあります。

 さて、高齢化に伴って必要となる費用負担で一番大きなウエイトを占めるのが年金です。ご承知のように年金については不安だらけですね。国民年金に関してはご承知の方も多いし、お若い方は考えてくださるといいのですが、サラリーマンは厚生年金ですから、好むと好まざるに拘らず、支払われています。自営業等の方、あるいは学生の方は国民年金のみですが、なんと本来払うべき方の4割が払っていません。37%の方が、払っていないのです。でも37%の人は払えないと思いますか?この37%の人のうち全体の20%の人が、保険料に相当するだけの郵便貯金をしております。
 皆さん、年金を払うことと郵便貯金をすることは、どっちが安心で得でしょうか?郵便貯金だと思っておられると思いますが、何故ですか?

 結論を先に言ってしまいますが同じ程度です。不安は両方不安です。安心も両方安心です。しかしどちらが得か?郵便貯金は0%に近い利息がついてきます。国民年金は、早く死んだら損です。二十歳で払い始めて、四十歳で死んでしまったら、何も返ってきません。しかし、百歳まで生きたら丸儲けです。
 今、国民年金に関して何が問題になっているかというと、保険料だけではやっていけないから、半分に税金をつぎ込もうとしています。今までは、1/3をつぎこんでいたのですが、ここに半分を税金でつぎ込もうとしているのです。では、どういう事になるのでしょうか?平均的には、払った額が倍になって返ってくる。なのに、みんな払わないのです。何ででしょうね?…それは、国が信用できないからだと思います。
でも、必死になって自分の事だけ考えて、自分の老後に備えて経済が成長したら、あなた達が貯めるはした金は「大したことないよ」という事を言いたいのです。だけど、経済が成長しなかったら、あなた達が貯めるはした金が、非常に大事なお金になってきます。だから、一方で自分の事を考えるのは大事ですから、老後の備えを考えてください。しかし、もっと世の中全体が幸せになれる為には、皆がどうしたら良いのかという事を一生懸命考えて下さい。現に日本社会は過去に成功して来ました。みんなで、幸せになるためにはどうしたらいいのか考えてきました。その結果、30年前と比べると豊かな社会になりました。自分の30年後はお金だけではなく、どういう状態が幸せな社会かという事をみんなで考えてやる。例えば、福祉の仕組みをどういうふうにしていたったらいいのかという事を一生懸命考えて、皆で相談して作っていくことは貴重な財産となって、自分の老後にはねかえってくる訳です。ですから、年金についての結論は、自分の力を信じてそんなに不安にならないでください。というのが、若い方への私のメッセージです。若い方はある程度まじめに働いて、ちゃんとやって行ったら経済は良くなります。そして、国民年金は、私はやっぱり払った方が得ですよ、というのが結論です。年金問題もここ5年くらいが、かなり深刻ですが、この5年を乗り切るとだいたい制度も安定化してくるという事がいえます。

 しかし、医療については2点だけある程度、方向性を打ち出さないといけない事があります。
ひとつは、ちょっと病院にかかり過ぎ。日本はちょっとした病気でもすぐに医者に診てもらう事ができるという意味では、最も幸せな国です。でも、すぐに診てもらえるがために、ひとり一人が自分の病気について、考える土台が低くなってはいないかという問題があります。例えば、糖尿病の患者さんというのは、医者に行ったら何とかなると思っている人が多いのではないでしょうか?糖尿病が治るかどうかは医者に行って診察してもらって薬をもらう事よりも、家に帰って何をするかという事で決まるわけですから、なんぼ医者に行ってもアカンという事に気がつかないといけません。(身体状況によります)誤解しないでください。大事な時は行く。行かないと今度は、えらい事になります。
 最近の調査ですが、重複受診と言って一ヶ月に同じ診療科で違う医者に行った回数を調べたら、一番多かったのが整形外科でした。診察内容のほとんどが腰痛だったようです。これ以上言うと怒られますが、あえて言わせていただきますが、腰痛は医者に行っても治りません。ただ、何処に行っても治らない。整体も、針もやったけど治らない。しかし、「治らないからあきらめなさい」と言ってほしい人はおりません。そんな時に、「大変やなあ。痛いなあ。一緒に診てあげるわ」と、一緒に悲しんでくれる人がいないという、この日本の社会が問題だと私は思います。
  有名な話で健康組合が、医療費導入削減を成功した事例があります。組合の訪問看護師さんが毎朝、被扶養者のおじいさん、おばあさんの所に行きまして、「おはようさん」と言って朝早くから行くのです。30分くらい話をしていたら、「あんたが来たから今日はお医者さん行かれへんかったわ」という事です。こういうサポート体制をどう作るかという事が医療費を削減するし、そういう仕組みをこれからどうやって作るかということが、これからの教訓です。


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