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第6.7号合併号   NEWSLETTER   大阪地域医療ケア研究会   2004年5月25日発行


 
第2回研究大会 地域で暮らしを支える医療とケアを考える
 

2003年11月30日(日) 午後9時30分〜午後4時/大阪国際会議場


  第2回研究大会が総勢180名の参加の中、開催されました。今回は、『医療と介護の新時代〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜』を大会テーマとして、茨城県立医療大学付属病院院長の大田仁史先生に基調講演をいただきました。
 続いてのシンポジウムでは「2015年の高齢者介護」というテー
マで、厚生労働省老健局振興課の香取照幸課長をお迎えし、迫り来る超高齢化社会の現実に直面する私たちは、どのように取り組んでいかなければならないかを各シンポジストの方々と共に考えました。
 午後からは、3つの分科会「介護予防・リハビリテーションを考える」「新しい住まいとは」「新しい痴呆性高齢者ケア」に分かれ、専門家の基調提案の後、現場からの実践報告や地域医療とケアについて活発な議論が交わされました。

 
基調講演 「医療と介護の新時代」
 〜リハビリテーション医療と福祉との接点を求めて〜
茨城県立医療大学付属病院院長 大田 仁史 氏
 
リハビリテーション医療の現状
 茨城県は福祉・リハビリテーションのデータの順位では、下のほうに位置している県で理学療法士の数は全国最下位です。伸び率はいいのですが、数が少なく、人口10万人に対して15人しかいません。ちなみに一番多いのが高知県で、人口10万人に対して74人います。
 回復期リハビリテーション病棟が制度の中に出てきました。私たちが掌握した範囲では、全国にある専門のリハビリテーション病棟の数は500余り、病床数は2万5千〜3万床です。全部が全部、きちんとやっておられるとは思いませんが、その数をみても茨城県では下から見た方が早いです。一生懸命やっているのですがなかなかうまくいきません。
 全国で一番多い所は高知県で、理学療法士の数と同じ10万人に対して74床あり、続いて山梨県となっています。東京は「リハビリテーション砂漠」といわれていて、一人ひとりへのサービスが届きにくく、そういう病棟がありませんので、近くの山梨県や群馬県にお願いしていると思います。茨城県まで来てくれればいいのですが、茨城県にはベッドがないから来てくれません。
 明らかに医療、福祉は西高東低で、多いのは四国、九州地区です。東と西とではこんなにサービスが違うのかという気がします。
 現在、リハビリテーションの専門職と言われるPT、OTやSTも非常に少ないです。PT、OTは全国に5万人強しかいません。何をもって良しとするかという基準は難しいと思いますが、デ ンマーク並みになるには33万人ぐらい必要だと見ています。年間に1万人ずつ出てきたとして、今働いているPT、OTが減らないという仮定の上でもあと、27,8年はかかります。
 例えていうと、でっかいかき氷のリハビリテーションニーズがあるにもかかわらず、赤いシロップをちょろちょろとかけたのがPT、OTで、それが下に浸み込んでくる前に氷は溶けてしまいます。それをみんな待っているのですが、かき氷の下で溶けるのはイヤだというなら、何をしなければいけないかを考え、発想を変えなければいけません。上下という考え方はよくないと思いますが、上から何でも来ると思うのは間違っています。

リハビリテーション医療の流れ
 リハビリテーション医療の流れで言えば、急性期から回復期、維持期につながりますが、急性期と回復期以降にはほとんどサービスがありません。PT、OT、STの70%近くは病院で働いています。恐らく専門病院を志向していますから、退院して維持期といわれる場にPT、OTはいません。老人保健施設にPT、OTがどれだけいますか。100人に対して1人か2人でやっています。今度、個人的にやれば点数がいささかつくことで、老健が地域のリハビリセンターになっていくべきだという考え方がありますが、それができる老健がどれだけあるか疑問です。

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