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第4.5号合併号   NEWSLETTER   大阪地域医療ケア研究会   2003年10月17日発行


 
▼「病院と診療所の連携について」(1)
  土井 生資(医療法人若弘会 若草第一病院 副院長)
http://www.wakakoukai.or.jp/
「病院と診療所の機能分担について」

若草第一病院の概要
 当院は、1981年に東大阪市若草町で開設された230床の地域医療支援病院を目指す急性期病院です。最終的な地域医療支援を取りたいという過程で臨床研修指定病院に取り組んでおります。
 臨床研修指定病院は、私どもが申請した時は、 おおむね300床以上の病院、もしくは年間3,000名以上の患者さんを診ているというのが認定の基準でした。当院は、300床を満たしていなかったのですが、230床であっても300床規模のレベルを保っていれば良いのではと考えて取り組んで参りました。しかし300床のカベは高く、スムーズにはいきませんでした。病床数だけ満たされれば認定されるという考え方はおかしいのではと思い、厚生労働省に何回も足を運び、話をさせてもらいました。回転数を良くすれば、200床であっても500床規模、それ以上の事が出来るんだということを厚生労働省に訴えて来まして、その結果、当時では、230床という日本で一番少ない臨床研修指定病院となりました。その後、認定基準が見直されて、病床の壁が取り除かれたという話を聞きまして、私達の訴えが理解されたと思っております。
 当院での平均在院日数が16.5日(2002年)で、今年は16日前後で推移しております。そして、利用率が88%、診療報酬上の紹介率が45%となっております。

若草第一病院の運営方針
 当院の運営方針ですが、大きく3つございます。
 一つ目は、『病院は入院医療を、外来は登録医に』。これは開放型病院の登録医という運営方針でおこなっております。すなわち、病院は外来をあまりすべきことではないという意味です。
 二つ目は、『早くて、上手くて、仕事きっちりの追求』ということで、チーム医療の実践、クリニカルパスの利用、医療の質ということについて、積極的に取り組んでおります。
 三つ目は、『救急医療の充実』ということで、24時間365日、同じ質で同じ体制でということを目標に置いて、救急医療の充実を図っております。 使命としましては、『できるだけ早く患者さんに安心していただく』ということです。
 一般的な流れを説明したいと思います。病床区分の考え方として、第四次医療法改正がありました。改正前は、『その他の病床』というのが医療法の中にありました。それが改正後では、『その他の病床』が『一般病床』と『療養病床』に分けるということです。この区分を今年の8月までに、『一般病床』か『療養病床』なのかを届けなければ、病院として取り消されるということです。 次に、医療におけるスケジュールを考えてみました。2002年4月に診療報酬の改定がありまして、2.7%ダウンいたしました。健康保険法の改正があって、2003年4月からサラリーマンの3割負担となります。
 また、介護報酬の改定もあり、一般的に2.3%のダウンと言われています。もう一つは、4月1日から全国の国立・大学病院の82病院ある特定機能病院が、一日定額払いの方式になっていくという動きであります。先程申しました通り、8月に一般病床と療養病床の分離があります。ここで、病院の機能としてはっきり分かれてきます。恐らく、2004年度には診療報酬の改定があって、社会情勢から考えてダウンだということと、臨床研修病院の必須が始まります。年金制度の改革や医療保険、高齢者保健制度についても議論していくだろうと思います。

若草第一病院の取り組み

 このような情勢の中から、当病院は何を目指すのかということですが、冒頭で申しました通り、私ども病院は『地域医療支援病院を目指す』ということで謳っております。地域医療支援病院とはどういうものかと言いますと、これは1997年に成立した第三次医療法に盛り込まれた新たな医療施設体系のひとつで、地域医療を担う診療所や中小病院を支援する病院をいいます。主に紹介患者の診療にあたる(紹介率80%以上、2年で達成する年次計画があれば60%以上)、施設を地域の医師等に開放する、救急を担う、研修事業を行う一定規模の病床を有するなどの要件を満たす病院が申請し、都道府県知事の承認を得て名乗ることができます。
 この地域医療支援病院を目指す中で、臨床研修病院を取得したのは、研修事業を行うということが一つあります。地域医療支援病院を目指すためには、開放型病院という考えがあります。これは、地域の医師すべてに利用されるべく開放されており、地域の5割以上の医師が登録している等の保険医療機関であって、共同指導のための専用の病床(概ね5床以上)が適切に備えられている病院をいいます。当院は46床の開放型病床を持っているのですが、実は230床全て開放病床にしたいという考えがあります。ただし、施設基準では実績が必要で、230床全て埋めようとすれば、100%紹介率でなければ埋まらないのです。紹介率であるとか患者さんの推移を考えまして、46床がマックスだろうということで行政から許可をいただきました。

病院と診療所の機能分担について
 地域医療支援病院を目指すために開放型病床を取って運営してきたわけですが、なかなか紹介率が上がらないという壁にぶち当たりました。そこで、当院の外来をどうすべきかという議論になりました。病院は外来をすべきではない。診療所が外来でしょうということで、当院の外来患者さんを積極的に逆紹介しまして、登録医の先生方に患者さんを診てもらうことを推進いたしました。もし、その紹介した患者さんに検査や入院が必要な場合は、当院を利用していただきたいということで取り組みました。
 では、私ども急性期病院の外来の役割は何をするんだといいますと、以下の4つの役割があると考えられます。
 1)紹介外来:検査・診断・治療指針外来
 2)救急外来:365日24時間、同一品質・機能
 3)特殊外来
 4)日帰り手術
 4月1日から、特定機能病院について1日の定額払いという考え方が出て参りました。慢性期においては回復リハビリとか包括的な支払いとか一般的に出て来ております。今後、入院医療については包括払いという方向に行くと考えられます。
 一方、外来というのは出来高払いという型で進むということです。ここで何が言いたいのかというと、ドクターフィーという考え方とホスピタルフィーという考え方が出てきたということです。私はこういう風に解釈しているのですが、国はおそらく病院は入院を重視にやっていくというような政策的な点数のつけ方をしているじゃないかと思っております。ねらいは病院は外来をやってもダメだよと誘導的に行っているのではと思っています。今後は支払い方式の変更などに着目し、アンテナを張って見ていかなければいけないと思っております。
 私どもは、『病院は入院で、外来は診療所』という考えで運営しておりますが、これが正しいのかどうかわかりません。経営的には厳しい面もあります。しかし地域医療支援病院を目指すためには、病診身連携を心がけ運営して参りたいと思います。


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