第4.5号合併号 NEWSLETTER 大阪地域医療ケア研究会 2003年10月17日発行
▼ 第二部 第2回セミナー(午後3時〜5時)
「地域で死を看取る 〜在宅ホスピスケアの実践に学ぶ〜」
講演:大頭 信義 氏(だいとう循環器クリニック院長
http://www.daitoh.or.jp/
)
施設ホスピスケア
近代ホスピスのはじまりは、1967年シシリー・ソンダース女史が開設したロンドンにあるセント・クリストファー・ホスピスです。それまでのがん患者は死を待つだけしかありませんでしたが、そこでは、ナーシングと近代医療を兼ね備えたものとして、はじめて療養の場が提供されました。また、シシリー・ソンダース女史に、ホスピスケアの真理を尋ねたところ、"Be There(寄り添う)"という事を言われたそうです。
2003年5月1日現在、日本に開設された施設ホスピス数は、114施設(2,154床)となっております。がんの方が施設ホスピス、あるいは在宅ホスピスケアを受けて亡くなる率は3%となっており、オーストラリア、シンガポールの60%と比べると日本は非常に低い数値となっております。
また、緩和ケアプログラムを導入している米国のホスピス総数は3,100件あり、施設ホスピスは175施設、残りの2,925件は在宅ホスピスとなっております。米国におけるがん患者の死亡場所は、病院が56%、自宅21%、老人ホーム19%、その他4%となっております。
在宅ホスピスケア
私は、1985年から在宅ホスピスケアに取り組んでおりますが、進行がんには在宅が一番優れた療養の場だと考え続けております。
1)在宅では痛みが少ない
在宅でもモルヒネが使えるようになって痛みのコントロールができるようになった。モルヒネの服用も経口・坐薬・持続皮下注射などいくつかの方法が取れる。
2)介護力が若く、手が多い
3)療養期間が短く家族が疲弊しない
4)医者・ナースその他少数のサービスで対応できる
日本のがん患者の死亡場所(1999年)は、施設(病医院・老人福祉施設)が93.3%、施設ホスピスが1.9%、自宅が6.5%となっております。 当クリニックでの最期の療養場所は、約7割の方が『在宅』となっております。あと3割の方は、「介護力不足」や「不安」、「腸閉塞、通過障害」「呼吸障害」「出血」などの身体症状の急変による『入院』となっております。
ホスピスケアにおける症状コントロール
がんの症状のコントロールですが、疼痛に対してはモルヒネ剤の活用で80%は解決できます。以前は超終末期にしか使用していませんでしたが、現在は痛みのある初期より使用することができます。ただし、最初からモルヒネ剤の量を多く使用すると痛みは消えても吐いてしまい、患者さんが嫌がる場合がありますので、モルヒネ水を溶かしたりして量を抑え、吐気を抑えてあげる工夫が必要です。また、痛みの度合いなどを理解するために、本人や家族に「痛みの日記」などをつけてもらうと痛みのコントロールはしやすいと思います。
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