◆病院の立場から 現在、当医療法人では、3つの病院を持っています。 その他、老健施設と訪問看護、訪問介護、居宅介護支援事業所を運営しております。 ▼機能分化 病院とはどういうものなのか。診療所との関係はどういうことなのかをまず捉えました。 1997年に医学書院から発行されている「病院」という雑誌に原稿を依頼され、『病院は外来をなくすべきだ』『入院日数を短く』と書き、法人内で大論争となりました。私は、病院の外来は集客システムになっているのではないかと常々思っております。 病院と診療所の機能分化ということを考えるなら、病院においては診療所などで対応できない疾患を診るための特殊外来、検査外来などは必要だろう。しかし、診療所で対応できる一般外来などは本当に必要なのでしょうか。 研究会の目的である「いつでも、どこでも、必要な医療ケアが受けられる」というサービスを提供していくには、病院・診療所・福祉機関とチームを組み、住民ひとり一人の人生をどのようにみていくのか、また、どのように連携を取りながらケアしていけばいいのかということを、色々な立場の方々と一緒にこの研究会で考え、情 報発信していきたいと思っております。
◆福祉の立場から 矢田福祉推進委員会は、地域の中の住民を一生活者として捉えたまちづくりが必要ではないかと『福祉のまちづくり』を進めてきました。現在は、「福祉ゾーン計画」をまとめた段階で、医療・福祉の各事業の計画を実現するための実行部隊として「矢田福祉推進委員会」を発足しました。 ▼矢田福祉ゾーン計画とは 設立趣旨として、老いも若きも、障害をもった者も高齢者も住み慣れた地域であたりまえに自立している、「共生社会」を築き上げていく。また、社会連帯の中の「個人として尊重」、補償や保護ではなく、尊厳ある個人の自立を求め、自立のための援助が人々の自治と連携の中から生み出されまちづくり。"行政にさせる"運動ではなく、"住民の自治を支援する行政"という形へ住民の関係を変化させる取り組みを目指します。 ▼具体的施策と今後の方向について 1.(社)ふれあい共生会の充実で生活支援体制を 「措置」から「契約」の時代を迎え、特別養護老人ホーム内の利用者の処遇を「病院」モデルから「生活」モデルへ、集団・日課主義から個人のニーズに対応するサービスを目指します。 2003年4月から「知的障害者のデイサービス事業」「精神障害者生活支援センター」「身体障害者デイサービス事業」(大阪市委託事業)を立上げ三障害への日常生活支援を始め、福祉ニーズに基づいた障害者の自立と社会経済活動への参画支援、主体システムを構築します。 また、リカバリハウス「いちご」(アルコール依存症・作業所)との協働作業を通じ、新しい地域コミュニティを模索します。 2.多様な住宅政策について 高齢者・障害者にとって、自立した生活を送るための拠点として「住居を確保する」ことは非常に重要であり、一定の援助があれば地域での生活が可能な高齢者・障害者を対象に多様な住宅を検討しています。 3.診療所の位置付け 地域の温泉を利用したリハビリの導入など特色ある診療所に転換のため新診療所の建築計画を検討中です。 以上のように、「ふれあい共生会」福祉施設と医療施設との連携をどのようにすればいいのか。どうしても「疾病から看る」、「生活から見る」の間には隔たりがあるのではないか。 この研究会に参加して、それらの問題をどのように解決していけばいいのか勉強していきたいと思います。