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第1号   NEWSLETTER   大阪地域医療ケア研究会   2003年1月15日発行    (2)

地域で暮らしを支える医療とケア
 

「大阪地域医療ケア研究会」 第二部  基調提案・パネルディスカッション
2002年12月1日◆大阪府福祉人権推進センター

  基調提案:コーディネーター  
中嶋 啓子 (なかじま診療所:高槻市)

▼転換変化の時代

 時代をどう捉えるか。現在は転換期である。食生活も変わり、独居老人の方もコンビニで店屋物で済ませたり、老人世帯でも若い人と同居しているにもかかわらず、食事も別、冷蔵庫も別、財布も別の家庭内別居が増えている。
 時代と共に、生活形態が変わり、地域構成も変わり、従ってそこで起こる疾病、障害も変わってきている。特に重要なのは時と共に健康観、死生観が変わっているという認識が必要である。健康であるということは病気ではないということではなく、病気があっても障害があっても元気で生活できるということは健康の大切なメルクマールである。又、介護のあり方も時代と共に大きく変わり、これまでの日本の風習の家庭で看るというのは困難になり、家庭ではみれない時代になったことを踏まえる必要がある。

▼ 社会保障の推進

 
現在、社会保障も含め構造改革がなされている中、大切なことは下記の通りである。 (1) 普遍性(全国民を対象) (2) 公平性(給付と負担の両面のバランス) (3) 総合性(医療、保健、福祉の連携、ネットワーク) (4) 権利性(自己決定による自己の選択)(5) 有効性(効率化、資源配分) 上記の点が本当にできているのか、また、個々の人権が尊重され人権重視がなされているのかをこの研究会で検証していく必要があると思われる。

▼医療と福祉の大転換期

 時代の変化の中で、医療と福祉も大きく転換期を迎えている。
医療は急性期の臓器医療から全人的包括医療(トータル医療)重要な柱となってきており、長期ケア時代を迎えたといえる。
福祉においては、措置制度から選択の時代へと転換し、社会的介護がゼロから生まれたという点では介護保険も評価できるが、今後目的別あるいは必要に応じて医療と福祉の一体提供ができるかが大きな課題といえるだろう。

▼介護保険体制の目的は

 介護保険制度において、ケアマネジメントの機構はすばらしいものである。
その中で、サービス機関の連携ネットワーク(紡ぎ)の必要性が歌われていることはすごいことである。走りながら作る介護保険制度をどう作っていくか前向きに関与していく必要がある。
また、介護保険の目指すべき3つの軸は、1.自立(利用者本位、自己決定、自己の選択の権利)、2.介護の社会化(家族で看られない、チ―ムとネットワーク)、3.社会連帯(保険制度による社会連帯機構)であり、今後の課題だと思われます。

▼在宅医療

 生活を支援することが大切なポイントであり、高齢者や障害者が住みなれた地域で家族と共に暮らせるよう支援していく医療である。また、医師は総括的責任者であって主に訪問看護、在宅リハ、訪問介護、訪問栄養、訪問薬剤などとのチーム医療ケアである。

▼在宅ケアとは

 地域が対象であり、地域性(住宅地・農村・商業・工業地帯)も異なり、そこに住んでいる人の生活も地域によって変わります。また、患者宅に足を踏み入れるには、患者さんや家族が納得しなければ受け入れてくれません。患者さんが家族や友人と共に健全で安心した生活が送れるよう総合的に生活を支援することが在宅ケアである。

▼地域医療ケア研究会の課題


(1) 地域ニーズの掘り起こし、一人ひとりの患者住民の生活の中から生きるエネルギーを学び、実践の中の真理を情報発信する。
(2) 人権尊重に基づいた医療ケアの取り組み虐待予防、抑制廃止、転倒予防、QOLなど
(3) 住民の健康づくり 生活習慣病への取り組み、食生活、環境、運動など多方面から健康づくりを考える。
(4) 地域医療の今日的課題
    ・かかりつけ医の推進
    ・在宅ケアの推進
    ・在宅ターミナルケアの取り組み
    ・在宅ホスピスの取り組み
(5) 在宅医療の推進 そのスキルアップ、研修を行う。
(6) ターミナルはこれからの地域ケアの最重要課題である。
(7) 各関係機関、関係者のスキルアップ、研修体制の確立。
(8) 相互扶助によるケア機関の連携と地域医療ケアシステムの構築。
(9) 病院など医療機関の機能分化が進む中、小さいもの、特に小規模機関(診療所など)の役割の明確化と機関同士の連携の構築。
(10)受け手が考える住民参加型医療ケア、ボランティア協働型医療ケア。

私達が目指すことは、生涯を通じた健康づくりと全ての住民の暮らしを地域で支える医療とケアのネットワークづくり、そして、「受け手(ご利用者)」も「送り手(医療者・ケア)」も共に地域で輝き、『全ての真の生との出会いである』を大切にしながら生きるということではないだろうか。


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