● 診察室で“会話”できていますか? ●神戸新聞で連載 No.2
毎日の診察の中で、医者、特に開業医が一番時間をかけている仕事は患者さんの話を聞くことだろう。
「まあ、先生、聞いてくださいよ。おととい町内会でバス旅行に行きまして、いえ、私はそこは前に行ったことあるから、行きたくなかったんですけどね、お向かいの○○さんが、その人の娘さんは先日離婚してもどって来たらしいんですよ、ええ、それでどうしても一緒に行こう、て言うもんでしかたなくついて行ったんですわ、そしたら。。。」足首をねんざした、という話にたどり着くまでが一苦労。
医者が話を聞いてくれないという訴えの中には、こういった患者さんにとって大切な物語を、医者が診断に必要ないと切り捨ててしまう、という感じ方の違いもあるように思う。まれにはこの悲劇の物語の中に診断に重要なヒントがかくされている場合もあるのだが、なかなかゆっくり聞いている時間と根性がない。
考えてみると患者さんとの会話の方法に関して今まで特別に教わったり、勉強したことがない。そんなこと常識だ、ということかもしれないが、この“聞きベタ、話しベタ”の患者ー医療者関係がおたがいの行き違いの出発点となっているように思う。
最近はこういった患者ー医療者の関係を考える企画が医学関係の本や雑誌にとりあげられるようになった。
患者さんとの話し方や質問のしかたにもいろいろコツがあるそうで、その方法を教えてくれる。もちろんなかなかマニュアルどおりに会話がうまくいくとは限らないが、そんなコツの中にも使い方によってはいいものもある。私がよく使うのは、ひととおり会話が終わった後で
|
[ HOME ] |