医療記録の開示
 

● 医療情報をどう入手するか.....インターネットも役立つ ●


◆ テレビも嘘は多いと知る

 医学知識の豊富なお隣のおばさんも、その情報源はテレビやラジオ、あるいは週刊誌といった雑誌関係が多いようです。
 多くの場合は、事実に近い報道がされているでしょう。しかし、ひとりのキャスターの特徴を売り物にしているような番組では、スタートして数カ月たつと嘘が多くなってくるようです。初めの数回は、視聴者が感心し、驚くような健康に関する話が出てきますが、このような「扇動的な、ジャーナリスティックな」情報提供は長続きしません。つい、針小棒大という話し方になって、それは結局、「嘘」ということに落ち着きます。ダイエットには、ひもじい思いをすることがかかせないことが多く、糖尿病に「効く」食べ物は世界中探してもまず見つからないのです。

 とくに、がんの療養や健康食品にはまだまだ証明されていない療法が多く、NHK番組とて安心とは言えません。数年前に同局から放映された京大教授による「胃がんに対するATK療法」(免疫療法の一種)には、その頃、家族が胃がんで苦悩していたこともあった私も大いに惑わされて、大学の友人に情報を確認してもらって、これが怪しい内容であることを知りましたが、その後、発表されたデ一ターは嘘であったと聞きました。

◆ 「真実」は揺れ動く

 情報が真実であるかどうかはなかなか判定が難しい。それには、いろいろな要因が考えられます。

1)時代とともに変わる
 1つの決定的な事実の発見が、それまでのあいまいな知識に一気に光を与え、これまで真実
と考えられていたことも変動していきます。
C型肝炎ビールスが見つかって、それまでアルコールが肝硬変や肝がんを生じさせると決めて
いましたが、それはむしろ少なく、多くの場合はC型肝炎が関与していたことが判りました。
また、24時間血圧計が実用化してみると血圧の変動は予想外に大きく、朝起床時にとても
上昇していることが判明しました。降圧剤は朝食後にと決めてかからず、むしろ朝起きて
すぐ服用するのがおすすめとなったのも近年のことです。

2)賛否が分かれる
 医学・医療の対象とする人間の疾病は複雑であり、治療の結果の解釈でさえ意見の一致を
みないことがしばしばあります。報道では、1つの実験や調査の結果が出た時点で、とりあ
えずこんな結果が出ましたよ、と発表するのですが、すぐ遅れて、まるきり反対の結論が発
表されることもあります。

3)商売のために
 健康や病気に関する産業は、その商品の開発段階では極めて真摯な考え方で開発したもの
でも、売り込むためには真実であると勝手に自分で確信したり、ときには、ごまかして進出
してくることがあります。高額なものにも、実際にどれくらいの人に試みてどの程度効いた
のかは全く不明な商品も多く混在します。
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