医療情報の開示
 

患者が創る自分の「病歴カード」

 その具体的な例を、以下に示す。

                                        
私の病歴カード
   
氏名  □□□□□   生年月日    才
    血液型は通常は不要
[1] 病歴
・昭和30年、14才  虫垂炎 手術 (入院1週間)
  「入院期間」から重症度が推測できる
開腹術は、将来に腸閉塞などの可能性を残すから記載する
・昭和33年、17才  右肘関節(尺骨)骨折
・昭和49年、33才  インドネシアの支社で2年間勤務
  海外生活で、感染症が気になるときには記載
・平成 2年、 49才  僧帽弁置換術 受ける。SJM機械弁
  以後、ワーファリンによる抗凝固療法を続ける。
投薬、抜歯、処置、手術など常に配慮を要す 
・平成 3年 C型肝炎指摘される。以後、定期的に検査
  投薬、手術など生涯にわたって考慮を要す
・平成 8年、55才  血便あり、S状結腸がん手術
  病巣近くのリンパ節に転移(+)
国立病院外科に通院中

[2] 気になること
  ・結腸がんの再発がどうなるかと心配
・C型肝炎は落ち着いているが、定期的な検査が必要
・疲れると夕方に不整脈(心室性期外収縮)がでる

[3] アレルギー
  ・経口ペニシリン剤の服用で発疹が出たことがある(平成5年)

[4] 私の希望
  ・がんが再発したり、新しく出てきた時には、直接私に全てを話して下さい。
・ がんの進行や、脳卒中で意識回復の見込みがない場合には延命措置は止めて自然な経過にまかせていただきたいと、現時点では考えています
   

5.がんの告知と「病歴カード」について

 最近では、「がん告知」について、関心のある方には、その医師や希望をぜひ「病歴カード」に記載することを勧めている。
 私は,悪性腫瘍に関しては、患者自身が希望すれば例外なく説明する方がよいと考えている。検査の結果が悪性であることが判明した場合には、「がん」という言葉を用いて説明することが適当かどうかは議論があるところだろうが、患者自身に先ず説明し、その後で、「ご家族には、あなたが話をされますか、それとも医者である私から説明しましょうか」と問いかける時代が、そう遠くはない将来にやって来るかと思う。
 要するに、医療情報というものは、それを知ってどのようにコントロールするかは患者自身が決定するようになると考えられる。その際に、自分は診断の結果を知りたくない、考えたくないという患者は多くないと予想されるが、本当にそう考えていると判明すれば、すべての点を伝えなくてもよいだろう。  ここで、私の在宅ホスピスケアの中から、「告知」についての現在の状況を話したい。 次の「悪性疾患病識スコア」は、昭和59年から考案し、用いてきたものである。

indexnextback

(本文の無断掲載ならびに転写は、お差し控え下さいますよう、お願い申し上げます。)


[ HOME ]

(C) Copyright by Reference,inc. 1997-2005(無断転載禁止)