介護保険
 

● 公的介護保険 ●


厚生省医療保険福祉審議会
 老人保健福祉部会傍聴記(平成11年3月)


提供:(株)マチュールライフ研究所
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 介護保険法施行規則の一部他、政令制定のため審議されている答申書(案)が15日に了承を持ち越される。

 厚生省が10年度末の政令制定に向けて、医療保険福祉審議会に諮問をしている介護保険法施行規則の一部、指定居宅サービス事業等の人員、設備及び運営に関する基準等の答申書が3月8日の審議会で了承されず15日に持ち越された。
 前回の3月1日にも、各委員から必ずしも8日の決着を見ずにもっと時間をかけて審議すべきという意見の多かった答申書である。何とか3月中に政令の制定・公布を実現したい厚生省側の立場を配慮しながらも医療保険福祉審議会合同部会(第9回)は、審議未了ということでこれを了承しなかった。

◎介護保険法施行規則案等(答申書案)では、諮問事項につき概ねこれを了承する。加えて、諮問内容にある介護報酬の骨格を出来るだけ早期に示されるようさらに準備を進めるべきであるとしている。
 なお、主な個別事項に関する両部会の考え方、及び審議過程で出された主な意見として以下のことを付記している。(以下要約を抜粋)

1.介護保険施設の人員及び設備に関する基準の経過措置について以下の点に留意すべきとしている。

(1)看護・介護職員の配置について、本来満たすべき水準が出来る限り早期に実現できるよう、必要な措置を講じるべきである。
(2)介護療養型医療施設のうち転換型では、原則として3年以内で医療施設近代化施設整備事業等により食堂・浴室等の整備が早期に実現できるよう支援すべきである。
(3)介護老人福祉施設における居室については、5人以上の大部屋を解消する必要な支援を行うべきである。また、個室化を基本とすべきという意見があった。
(4)上記等の措置を踏まえたその後の改善状況を勘案して、一定の期限を付することを検討すべきである。

2.基準該当サービスについて
(1)同居家族に対する、訪問介護は一定要件の下での基準該当サービスとして、市町村の判断で給付対象とする考え方については引き続き検討することとする。
(2)訪問看護の基準該当サービスの取扱いについては、賛否両論あり引き続き検討することとする。

3.介護福祉施設における個室の差額徴収について
 当該施設が国もしくは地方公共団体の負担もしくは補助またはこれらに準ずるものを受けないで設置された施設である場合に限られるものであり、利用者等に混乱が生じないよう配慮すべきである。

4.身体的拘束等の禁止規定について
 介護の現場において、処遇の工夫などのその具体的な取扱いについて、さらに検討を深めていくことが望まれる。

5.介護サービスの提供に係る事故発生時の対応について

6.市町村に対する居宅介護サービス計画の提出について
 市町村から居宅介護サービス計画の提出を求められた居宅介護事業支援事業者は、それに応じなければならない旨を明確にすべきである。

7.訪問介護を担当する者の要件について
 量的な拡大を図る観点から、当面3級研修を終了した者もその対象とすることはやむを得ないと考えるが、採用後の研修機会の確保を通じて、サービスの質の向上に努めるべきである。

8.保険給付の制限を行うこととする保険料滞納期間について
 制度施行後の保険料収納状況等を踏まえ、必要に応じ検討を行うべきである。

9.第2号被保険者の保険料について
 保険料の具体的な賦課、徴収方法等の考え方や保険料率上限の取扱いの考え方など出来る限り早く提示すべきである。

 以上のように、「同居家族による訪問看護」も介護の密室化を助長するとか女性を介護に縛るものであるなど反対するする委員や山間僻地では事業提供者の確保が難しく認めるべきだという委員もあり、議論のあった審議会のときでも今後数回お互いの意見を納得のいくまでまだまだ議論すべきであると後送りされたままになっている。
 「訪問看護の基準該当サービス」に対する扱いも、ここ数回の審議会で意見が交わされたものの結論には至っていない。
 また、介護報酬の内容も明らかにされていない時点での答申に、人員や設備に対する基準を早く確定し、今後は運営基準で人員等の充足を促進するよう誘導するということに危惧を持つ委員も多くあり、このことは答申書の了承が得られない最大の理由でもある。

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