welfare
 

● 我が国と米国との高齢福祉政策の違い(アメリカ) ●


アメリカ

T 高齢者ケアの政策

 
米国において、高齢者と障害者のための医療サービスはメディケア制度を通して実施され、その財源の大部分は、政府が負担しています。高齢貧困者を対象とする老人ホームの経費は、メディケイドの財源を活用しており、その責任は連邦政府と州政府で分担しています。その他のサービス(住宅、送迎、デイケア、給食、カウンセリング)は、個人、家族、民間団体または州政府、地方自治体に任されているが、交付金や助成金は政府から給付されています。
1)高齢者とその家族からのさまざまな介護のニーズにはどのようにこたえるのか
・連邦政府は、住宅、送迎、給食、シニアセンター、デイケアセンターを含めた諸サービスに対して交付金や補助金を支給しています。
2)高齢者ケアの福祉サービスの急増、計画と戦略にどのように対処するのか  
・連邦政府は、各州、地域機関、民間組織の責任の代表者となります。
3)いかにして、サービスに多様性をもたせ、サービス供給の組織を調整するのか
・サービス多様化のために、州、地方自治体、民間組織に分権化しています。

U 高齢者ケアサービスの概観

■法的根拠と政策の方針 主な法律は経済援助とヘルスケアの供給を管理し、他の法律は、老人ホーム、低所得の高齢者用住宅、デイケアセンターに直接的・間接的に交付金を支給するものであります。政府は、老人ホームに資金を出さないが、メディケイドによって、老人ホームの貧困な高齢者に直接的な経済援助をしており、結果的には、民間事業家が老人ホームを建ててそのサービスを老人に提供し、収益をあげることができるようにしています。
■援助プログラム 高齢者の大多数は、高齢者用の施設に居住しておらず、自宅に配偶者、その他の血縁者、血縁でない者とともにあるいは一人で暮らしをしています。約5%が老人ホームに居住しており、3%の約100万人が援助付きホームに居住しています。サービスは、施設 の型によって異なります。
■財政基盤 施設の最も一般的なものは、高齢者の約5%が入居する老人ホームです。1988年には、 老人ホームの経費の48.4%を、入居者やその家族が支払い、44.4%は公共機関(メディケ イド)が支払い、残りわずかな額は、メディケアや民間の保険で支払われています。
■施設ベース 施設の種類によって異なり、最も衰弱した高齢者を入居させている老人ホームは、看護婦をスタッフに有し、薬の投薬などの集中した個人的ケアを行っています。定年退職者のホームや援助付きの施設は、ダイニングルームでの食事、家事、レクリェーション活動を提供しており、着衣や身づくろい、薬の投与の援助も行っています。
■在宅ベース 給食、軽い食事、送迎、訪問看護婦あるいは医療援助がよく利用され、利用できるサービスは場所によってまちまちです。在宅の医療サービスはメディケアが負担していますが、その経費は年々増加しています。
■地域ベース デイケアセンター(全国に約3,000か所)と会食サービスが一般的であり、最も利用されているのはシニアセンターで、旅行、体操、娯楽、趣味といった社交活動を行っています。「政府の調査」によれば、1984年には高齢者の約3割がシニアセンターを利用しています。
*高齢者人口
(1993年現在、総人口2憶5826万人のうち、65歳以上は3280万人
男性:1330万人 女性:1950万人)
*高齢者人口比率の増加
(2030年までに人口の22%が65歳以上。逆に21%が18才未満と見込まれている)

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