社会環境

● 「結核非常事態宣言」に思う ●

 

高齢者の新規発生と若者への集団感染

 実は、新規患者が増加している年齢帯を見てみると、現在の結核の新規患者の様子がとてもよく判ります。
  97年の新規患者のうち大幅に増加したのは特に、70歳以上の高齢者だったのです。
  70才以上で13,483人(96年)から14,740人(97年)と増えました。

1997年(平成9年)結核基本統計値

<前年(平成8年)値>
新登録患者数(罹患率) :42,715人(33.9)

<42,472人(33.7)>

   うち29歳以下の占める割合(%) :10.9%

<11.1%>
      30〜59(%) :34.0%

<35.7%>
      60歳以上(%) :55.1%

<53.2%>
      70歳以上(再掲、%) :34.4%

<31.7%>
      男:女 :1.9:1

<2:1>
   菌塗抹陽性患者数(罹患率) :15,967人(12.7)

    <15,035人(11.9)>

マル初(初感染結核)新登録者数(率) :6,172人(4.9)     <5,506人(4.4)>
結核死亡者数(死亡率) :2,742人(2.2、順位22位)     <2,858人(2.3)>
年末活動性全結核患者数(有病率) :55,409人(43.9)     <59,760人(47.5)>
率はすべて人口10万対

 しかも更に注目すべきことは、高齢者の発症は、全く新しく結核にかかったのでは なく、これまでツべルクリン陽性の者(既感染者)が、体調が変化して、つまり免疫カが低下したときに体内(主として胸郭内のリンパ節)に封印されていた結核菌が元気を復活して動き出したということのようです。  若い頃に軽い結核にかかり、陽性となって免疫方を獲得してうまく乗り切ってきた身体の中で、肺炎になって体カが低下 したり、大きな手術を受けたり、糖尿病が悪化したりして感染に対する抵抗力が落ち たときに、結核菌が暴れ始めるという次第です。 そしてその人が、不幸にも結核が拡大して咳をするときに結核菌をばらまくように まで進展するとことは重大です。 なにぶん、最近の若い人は結核菌に触れたことがないので(ツべルクリン反応陰性) すぐに感染しやすく、また多くの人が結核に対する免疫がないのでたやすく集団感染 と言う事態になってしまうという次第です。

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