ホスピス

● 医療消費者が求める医薬品 ●

 

医療・医薬品業界に望むこと

 医療・医薬品情報は開示の方向へと流れができてきていますが、まだ途上の感があります。業界全体に対してのご感想・ご意見をうかがいたいのですが。

 情報開示の問題点ですが、情報洪水に溺れないで何が自分にとって大事な情報 かを識別する努力も必要です。近年はテレビ、新聞、雑誌、そのほかインターネットまですごい情報量ですよね。そのなかで何が本当に自分にとって役に立つのか、ということをセレクトする能力がないと混乱して、情報洪水に溺れてしまいます。このような情報の中から、あなたにとって必要な情報はこれですよと教えられるのが専門家なのです。

 今まで医療・医薬品業界は患者さんの手前で情報をコントロールして流さないようにすることがほとんどでしたね。そして時々事件が起きて、ダムが決壊するように情報が流れてくる。私は先ほどの副作用情報も、カルテもレセプトも、情 報はすべて必要ならいつでもわかりやすい形にして提供する、それが専門家の役目だと思います。

 そのためには患者さんに説得力のある説明の仕方を工夫しなければならないと感じています。素直に、患者さんに理解しやすい形で提供するという力が不足しているのだと反省し、努力をしなければならないと思いますよ。

 医薬品業界に望むことはたくさんあります。特に情報の責任問題です。一般の商品に照らし合わせてみると、くすりのエンドユーザーは患者さんなのだから、メーカーは患者さんに直接情報を提供できないものなのかなあ、と思います。確かに薬事法などで広告の規制がされているのでしょうが、何とかならないのかな、というのが実感です。

 「くすりのしおり」といった患者さん向けの情報提供の方法も内容も、もっと充実させてほしいものです。製薬会社からは安全情報といったものがダイレクトメールで送られてきたり、MR(医薬情報担当者)が持ってきたりしますが、実際に副作用などで事故が起こった場合、実はPL法でメーカーがとらなければならない責任が、現実には医師に転嫁されている気がします。
 また、最近だんだん増えてきましたが、くすりの名前の日本語表示を徹底してほしいということです。さらに、効能効果と副作用もあわせてくすりのヒートシールの裏に書いていただいたら、いちいち当院で行っている、くすりに説明書きを付けているような手間が省けます。
 確かに製薬企業といえども私企業ですから、自社の製品のセールスポイントを強調してアピールするのはある程度仕方がないと思います。くすりの効能・効果の審査や副作用情報なども含めて、正確で公平な情報を提供してくれる公的機関や、市民なども参加する第三者機関の設立が必要なのかもしれません。

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