● これからの薬の飲み方を考える ●
(図―1)は「体の細胞ならびに組織の機能が1日のうちで最大になる時刻」であり、
(図―2)は「1日のうちで病気の発生しやすい"魔の時間"概日リズム)」です。
研究は、まだ途上であり、今後も変動の予想されるデータかとは思いますが、時間治療学を考えていく上ではとても参考になると思います。おのおのの疾患は1日中同じ割合で発生するのではなく、ある時刻に集中して生じることが判ってきつつあるのです。つまり、従来の疫学的な調査が疾患の地理的・空間的分布を明らかにして疾病の解明に役立ったのに対して、時間的な分布も同様に重要であることが判ってきたのです。
<時間的治療学と薬の服用のすすめ>
こんなことを先達に学びながら、私たちのクリニックでも少しづつ時間的な要素を採り上げた処方を考えていきたいと考えています。
血圧は時間的な変動が大きいという特徴があります。コレステロ―ルはこのような配慮はほとんど不要で、1日のうちいつ服用しても差はないようです。胃の薬は当然ながら食事との関連が深いでしょう。
このようなことを考えながら薬の飲み方を検討すると、これまでのようにただ「食後」とするのは不都合な薬剤もかなり出てきそうです。
その薬をのむひとの生活様式を聴きながら、時間を指定した服用方法が増えてくるでしょう。勤務が3交代で、夜勤があるなどの特殊事情も十分に考慮されるでしょうね。そうすると、新しい処方の仕方はつぎのようなものとなりそうです。
○○○ mg 起床時と午後3時(2回) 14日分)
(薬品名) (1回の服用量) (服薬時間) (投薬期間)
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将来は、きっとこのような飲み方が、―般的になるでしょうね。
私たちのクリニックもすこしつつ変わって行きます。
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