ホスピス
 

● 黄色の薔薇に囲まれて Vol.2 ●


―愛する人と別れるとき―


3月4日

 黄疸が出る 主治医に連絡 全身倦怠感強い。
生きると感じることは嬉しいこと、楽いいこと、素晴らしいことが自分に起こったとき。辛いこと、悲しいこと、何故こんなにまでして生きていなければ行けないんだと思う時にも生きている事を感じる。

 3日後、入院をすすめられました。5FU(抗がん剤)を使っての治療をすると説明を受 けましたが、自分―人では入院しないし検査も受けずにこのまま帰ると、個室を希望しました。こんな無理を聞いてすぐに個室を用意してくれたので、とりあえず検査をしました。その時、先生からあと2〜3ケ月と聞かされ愕然とし、信じることができませんでした。主人もいよいよ残された時間が短くなったと感じたのでしょう、検査が終わると病室に先生を呼び3人で話しをすることを望みました。
 先生には「もう、ダメなときは延命治療はしないように、でも痛みだけはとってほしい。そして、この治療が済めば家に帰る、今帰らなければ2度と家に帰れないような気がする」と言い、私には、「辛くてどうしようもなければ俺を一人にしてくれ。本当はもっと―緒にいてほしいけどおまえが大切だ。そうなったときにはホスピスに行くから」と。
 「浜松のホスピスも淀川キリスト病院もいっぱいで入院できないから、どこか紹介してほしい」と先生にお願いするのを聞き、「ホスピスには行かせない、これから在宅でいくので協方をしてほしい」と先生にお願いしました。先生も惜しまずに協カして下さることを約束してくださり、早速、訪問看護婦と心療内科の先生を紹介して下さいました。
 訪問看護婦さんに来ていただくことはありませんでしたが(主人が嫌がったため)、心療内科の先生はこの日から最期まで何度もカウンセリングに来てくださり、私達夫婦を精神的に支えて下さいました。

 今回の入院では、私より主人の方がやりにくかったのでは?と思います。看護婦さんに「この薬は何?」「この注射は何?」といつも聞き、納得しなければNOとはっきり拒否していました。しかし、この態度があったからこそモルヒネの使用について話し合う時間が持て、本人の納得のいく治療を理解していただけました。私は私で在宅に向けて、消毒の方法・点滴の早さ・へパリンロックの仕方など専門的なことを教えてもらいました。


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