● 在宅ホスビスケアの課題 ●また、図6に示した「排泄」では、ポータブルトイレまで含めると、半数の方が死亡の5〜7日前 まで自分で用を足すことができた。
このように在宅療養では、点滴や呼吸補助のための装置が最小の使用となるため、若干の寿命の短期化の可能性はあるが、生活レべルの維持は、最終に近い病期まで可能となり得る。
◆途中で施設入院となったのは当初は、できれば在宅で終末期を全うしたいと考えて療養を開始した場合でも、途中で出現してくるさまざまな症状や事情から、病院やホスピスに入院するといった事態になることは常に考えられる。その揚合、ある一つの療養の形態がよいだろうと固定的に決めてかからずに、病院・ホスピス・在宅の3者の、都合のいい点を利用して自由に選択してもらうようにしている。その結果が図7である。 37名の在宅療養を開始した者のうち、73%に当たる27名が最期まで自宅で療養を継続することができ、6名が病院、4名がホスピスに入院となって亡くなられた。 私たちの活動の場である姫路地方では、私たちの主宰する「播磨ホスピス・在宅ケア研究会」の依頼を受け人れて、姫路市の聖マリア病院に「緩和ケア病棟」を設立していただいた。I996年5月より診療を開始したもので、研究会のスタッフである医療者や一般市民が、日常的にボランテイア活動や症例検討会で参加している組織である(ちなみに、I997年12月初めの時点で、全国に29の緩和ケア病棟が正式に承認されている)。 このホスビスは、検討した7年間の最後の年のl997年5月より患者を受け人れ始めたものである から、このl年間は4名てあったか、将来的には、在宅療養が困難となった症例に対し、優れた療養環境を提供してくれるものと期待している。
その入院への転機となったものの最大の理由は、4例の「介護力不足」であった。子ども達が家から離れて、残された両親やあるいは片親が、療養期間は極めて短期であるが十分な介護力を見つけることかできずに在宅療養をあきらめるというコースである。 |
[ HOME ] |