● 少子化対策は有効か ●
〜子育てを楽しめる環境づくりを!〜
〜プラス面の影響〜
短期的な影響であり、経済成長の低下などで長期的には生活にゆとりがなくなると考 えられている。
◇生活面……環境負荷の低減、大都市部での住宅・土地問題や交通混雑等過密に伴 う諸問題の改善などゆとりある生活環境の形成、―人当たりの社会資本の増加などが実現される。
◇教育面……密度の濃い教育の実現や受験競争の緩和につながる。
上記のような影響を社会全体にもたらすものと考えられているが、この小子化の背景には、若者個人の生き方の多様化、すなわち ワークスタイルの問題、女性の社会進出とそ
れを阻む男は仕事、女は家事という固定的な男女の役割分担意識と雇用慣行の存在が厳然として存在している。特に役割分担意識については、女性の間で大きく変化しているにもかかわらず、社会がそれに追いついていないという点が指摘されている。また、雇用慣行については、女性の高学歴化、雇用機会の拡大、男女の賃金格差の縮小を背景に、結婚、
出産、育児と仕事を両立させたいと考える女性が増加しているにもかかわらず、職場にお いては結婚、出産による退職慣行か強く、―方で再参入の障壁は高いという現実が指摘されている。
エンゼルプランの概要
このような少子化の進行や女性の社会進出等に対応するべく策定されたエンゼルプランは、出産や子育ては個人や夫婦のプライパシーに属するものであり、国などが個人の価値観に介入し、子どもを生むことを督促したりすることは忌避すべきこととされ、子どもを生みたい人が安心して子どもを生み育てることができるように、その制約要因を除去していくことにより、出産や子育てを支援することを基本としている。
このため、各市町村等が具体的に取り組ん だものは、厚生省が打ち出した「緊急保育対策等5か年事業」を基にした、保育所や学童保育所(放課後児童健全育成事業)に関する施策が主となっている。
しかしながら、これらの施策は、結婚あるいは出産した後の対応であり、「育児の負担感、仕事との両立の負担感」、「個人の結婚観、価値観の変化」や「親から自立して結婚生活を営むことへのためらい」などの要因に対しては、ほとんど応えきれていないと言わざるを得ないであろう。
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