子育て・保育
 

● 少子化対策は有効か ●
〜子育てを楽しめる環境づくりを!〜



 経済的支援が必要

  女性の社会進出が増えるとなぜ、子どもが生みにくくなるのであろうか。
  一般に、「女性の賃金が高くなると、出産や育児などで就業が中断され、収入が少なく なる。さらには、出産などで失った所得をできるだけ早く取り戻そうと再就職の時期を早め、第2子・第3子をあきらめる。」とい われている。このためには、就業を中断しても、収入を補償、あるいはそれを上回る仕組 みや制度が必要ということとなる。
 一部の市町村では、現在、第1子でも出産一時金が支給されているが、あくまでも一時金であり、子育てに関する費用については、 所得に応じて医療費や保育科の無料化や減免などが行われている。しかしながら、従来 からその必要性がいわれてきた「子育て減税」についてその導入を真剣に検討することが必要ではないだろうか。
  また、産休や育休については、こども未来財団による一部の給与補償が行われているが、今後、男性による育児休暇や介護休暇の取得を奨励していくためにも、身分や地位を保障する制度や、企業における戦カダウンに対する支援などを確立していくことが必要ではないだろうか。あるいは、子育ては社会的な役割であるという考えから、扶養手当に代わり”子育て割増手当”として充実し、税制面での優遇策を打ち出すことなどが考えられよう。
  同時に、産休や育休に対する理解と協方を深め、取得しやすい環境づくりに向け、企業・従業員の研修や意識啓発を進めていくこ とが重要である。

意識変革が重要


  女性が育児などの負担感を軽減し、安心して子どもを生みたくなるようにするためには、経済的な支援の他に何が必要であろうか。
  男性は仕事、女性は家事・育児という固定的な男女の役割分担意識を解消していくと ともに、「子どもは、小さいうちは母親が育てるべきであり、女性は子どもを育ててはじ めて―人前」という"母性神話"を男性だけ でなく、(特に年配の)女性から払拭するなど、意識改革を図っていくことが重要な課題である。
  また、独身時代の自由が子どもや結婚によ って束縛される、さらには、家族を養う、家庭を持つということに対する責任が生じるものの、経済的な不安が強く親元からの自立 ができない、夫婦関係の維持がわずらわしいなどといった、若者、特に男性の意識を払拭していくことが必要である。(ただし、パプ ル全盛期に豊かで自由な生活を満喫した若者たちが、子どもを中心としたある意味で窮屈な生活に我恨できるような施策は、結局は意識改革しかないだろうが。)

 このためには、子どもや子育てが楽しいということを積極的にアピールするしかなく、 子どもを核にした新しい友人関係やライフスタイルの構築・創造の可能性を大胆に打ち出すことが有効と考えられる。
  さらに、夫婦共働きを前提にした家事や育児の外部化、すなわち、一部の都市で行われているホームへルパーやべビーシッターの派遣など家事・育児サービスの安価な提供体制を整備することが重要ではないだろうか。 一方では、経済的に安定した生活を送ることができるよう、3世代居住が可能な住宅の充実と、居宅の維持・継承につながるような相続対策などを確立することも検討する必要があろう。

子育てを楽しめるように

 保育所の充実をはじめ、家事・育児の外部サービス化、意識改革だけで、すぐに少子化が収束し、子どもの数が増えることは当然ながら、無理な話である。時間をかけて社会のシステムや意識の変革・改革を進めていくこ とが重要てあり、即効性のある解決策はあり得ないのではないだろうか。
  とはいいながら、短期的かつ長期的な効果が期待されるものとして、教育面での取り組みを早急に進めることが必要と思う。
  すなわち、中学生や高校生などが、乳幼児などとの交流やふれあいの機会・場を拡充し、子どもや子育てについての理解と関心を高 め、子育てを楽しむことを経験させていくことが効果的であると考える。
  また、核家族化が進み、つながりや連帯感が希薄となった地域社会においては、子どもや子育てを通じたコミュニティづくりを進めていくことが必要と考える。さらには、子育てなどに関する保護者の不安を解消するとともに、子育て経験が豊富な高齢者の活カの活用と、新たな人材の発掘、ひいては地域の活性化を図るために、地域社会が―体となって子どもを育てていくことを積極的に進めていく必要があろう。

(参考資料)
「少子化に関する基本的考え方について」 人口問題審議会(平成9年10月)

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