●8月4日 火曜日

 午前5時起床。発熱は38度ほどあるが、幸い体は元気でのどの痛みも軽減している。よっしゃー、薬は効いとるぞ。ついでに血糖を測る。158mg%。いいでしょう。6時30分に朝食へ。食欲はまだそれほどでもない。薬のせいであれてるね、これは。それでもオムレツに始まりベーコン、ハッシュドポテト、ジュース、果物は十分取る。食後のひととき大衆紙、NATIONをベルキャプテンから買って読む。
昨日の銀行員のストライキには12000人も参加したそうだ。大体、電化製品などをローンで買った場合に利息以外にローンに税金をかけようなんて殺生だわ。ローンで買える人は裕福な人の部類に入るがそりゃ怒るわね。サラリーマンを怒らせてどうするのかな?

 マンションは大阪並に高額で、新車は税金がすごくて余程の金持ちでないと買えない贅沢品ということである。貧富の差が激しい国になってしまったということなのか。一歩ナイロビを離れると、貧しい家と貧しい生活が普通なのだが、彼らが働く仕事場がない。工業が進まない。商業も地方では寂しいものだ。せめて地方で市場の欲する農産物・海産物・畜産物・塩干物を作りそれらを集積して市場に提供できる計画でもあればいますこしは市場経済も発展するのだろうが。マトマイニが日本人の好む野菜を生産して収入源にしているのをみてもアイディアと実践能力がいかに大切なことかわかるはずである。誰か政府関係者に有能でカリスマ性のある指導者が現れることを期待する。

それとともに民間にもジョージやスティファンのような優秀でまじめな実務家が国のため、国民のために仕事を広げるのだという視点がもてればこの国は今からでも伸びうるのだ。26年前と比べてスラムが増加しつづけているようだがなんとか早く手が打てないものか。46も部族がありそれぞれに自分たちの利益を優先するような姿勢では永久に国家として成長し得ない。国家意識から変えなければならないのか。食堂を覗くと、みんな疲れが取れてしっかりと朝食をとっている。藤本君らは1時間も食べてるんじゃないかな。ルシールパンバ先生も8時にはこられ9時に出発。今回は例の悪路はとらずにお金持ちの町を通って行く。どの家にも警備会社の大きな看板がかかっており危機管理にはかなり気を使っている。家族で乗馬を楽しんでいるのに出会う。もちろん白人だが。

 マトマイニでは子供たちは検診のため小学校を休んでいて高学年の子達は試験がありそれを受けた後に戻ることになっている。鳥取のYMCAのワークショップに来られている方の中に看護学生が三人おられ検診に参加したいと希望される。助かります。食堂で受け付け、腕に番号札をつけ、身長、体重、バイタルサインを測ってから、尿検査を行う。みんな上手に分担してスムースに運んでくれる。そのあと診察室に入り、最後に採血となる。痛い目をさせるので後であめを渡すことにする。なんせ甘いものはほとんど食べないので大好きだ。
年齢に比して成長は正常範囲にある。身体所見では頚部リンパ節の腫脹、軽い甲状腺の腫大が見られるが、心臓などはまったく問題ない。歯もほとんど虫歯が見られない。ヨードの摂取が少ないために甲状腺が腫れているのか?
 HIVは大人のワーカーに一人陽性者がみられる。血液検査では蛋白質も正常範囲で栄養状態のよさを証明している。昼過ぎには学校へ行っていた子達も帰ってきて終了する、採血した血液はホテルで徐さんが検査してくれる予定。一人で大変だ。子供たちもよりいっそう親しみを深めたようでその後の昼食は一段とにぎわった。

 小生は相変わらず胃の調子が回復せず全部は食べられない。一休みした後近くのクリニックへ見学に行く。女の子と一緒にぶらぶら歩いていると遅れてしまって街中で見失った。仕方なく彼女と一緒に裏通りを戻ることにする。狭い道の両側に小さな雑貨や、肉屋、散髪屋、バーが並んでいて、老いも若きものんびりと所在無さそうにしている。小生が通ったためにものめずらしく眺めている。
彼らは我々に危害を加えることなんてまったくないので安心して見学する。ジャンボでニッコリである。さきに孤児院へ戻って、芝生の上にタオルを敷いて横になる。風がさわやかでついうとうとする。目をあけると雲がちぎれて青空が高くそれだけで幸せな気持ちがこみ上げてくる。20分ほどでみんな戻ってきた。

 マトマイニの隅々まで各自好きなように子供たちとともに散策している。前田先生は泡風船の材料、フリスビー、ひっつきテニスなどをプレゼントしてみんな大喜びで、夢中になっている。サッカーのボールを寄付していただいたがよく見ると衣類をまるめて紐でしっかり鞠状にまるめたボールがある。なければこれでも結構遊べるのだと知る。夕方になり帰る時間が近づく。なんとも名残惜しそうでつらい。来年もまたくるからと言い聞かせる。
もっとも今年は清水君ら4人の美術大学生が2週間ほど残って滞在させていただけるとのこと。いい勉強になるでしょう。

 ナイロビに戻る途中で、UTAMADUNIという民芸品店を訪れる。面やネックレスを買って、ふとみると菊本さんとルシールがお茶をしている。時間からしてサンダウナーですよ、なんていってタスカビールを頼む。そうか、もう熱も下がって体調良好だ。道理でビールを頼む気になったのか。ま、とにかくおいしい。急いでサファリクラブに戻って、徐さん、吉田婦長、横尾ナース、藤本、岡本さん達は夕食までに検査と検診データの整理にかかる。その間小生は急いでシャワーをつかい、日記を書いて、もう一本ビールを飲む。明日からはサファリに出るので本日は日本食に変更する。

7時30分に出発。皆さんいろいろと食べて意気軒昂として戻る。日本食はやはり元気がでるようです。本日の反省。Dr. Lucille Pamba は実にハードワーキングな医師である。将来いい医師になるだろう。Professor N. Bwiboがマトマイニを訪問してくださったことは今後の子供達の健康管理に役立つことだろう。検診は10人ほどのスタッフで40人を見るのに約3時間かかる。早いほうか。みなさんのご協力に感謝する。検査項目は12種類ほどあれば十分なのだが。来年は検討してみる。なによりも孤児院の検診がまっとうできたことが幸せである。お休み。

-6-
[ BACK ][ NEXT ]


[ TOPICS ] [ NEWS ] [ 医療裁判報告 ] [ INFO ] [ HOME ]