● スウェーデン、ドイツ、オランダ三国の視察報告 ●
〜医療の品質とエラー管理〜



ベルリン心臓センター
事務長  Thomas Michael Hohn氏
品質管理担当マネージャー Ms.Kauffrau Nermin Cabrera Fugardo氏:看護師、経営管理士
研究マネージャー Dr. S. Hubler

 ベルリン心臓センターはフンボルト大学医学部と関連しているが、現在では付属ではなく独立した"慈善病院"的な運営になっている。ベルリンの政府から保健担当大臣や医療関係者6人、有力大企業の理事者等12人の18人で理事会が構成されている。ベッド数160床、ICU42床、医師180人(心臓外科医35人)、常勤看護師310人、非常勤470人で心臓カテーテルなどに習熟した専門ナースは60人。外来は6名の医師で8時から17時まで診察している。バイパス手術、インターベンションは常時行い、手術数は12−15件/日で週5日間行い、心臓移植は年間100例とのこと。小児心臓病も外科、内科共に活発で、ベルリンの中心的病院である。付き添い家族のための"癒しのための施設"や中庭など環境も充足している。内部見学では日本の病棟、ICUと変わりがなく、清潔度管理などは日本よりゆるい。ICUは小児、成人共に機械室といった雰囲気でアメニティは悪い。
企業の委託研究も行っていて、寄付も受け付けている。入院費は1日1500EU=18万円、バイパス術は15,000から18,000EU、在院日数4〜5日で後送病院(150床)があるため、再入院率は高くないとのこと。
診療の質管理では、"クリニカルパス"は法的に全ての病院で採用しなければならずこの病院でも行っているが詳細は不明である。外科・内科の連携はよく適応基準なども適切に守られているとのこと、合併症検討会が行われている。事故報告については各病棟単位で集約され、対応されているが全病院的監査などはない。医師の権威が残っており、最高の医療を施しているという自負は端々にうかがえるが客観的な監査を受け入れる点では遅れているといわざるを得ない。
ICUには100人の看護師、25人の医師、その他理学療法士などが働いている。看護師は年間33日の有給休暇がある。5年前にRisk analysisがはじめられ、作業手順が決められており、一部は前記のパスとして作っている。看護師は当センターでの教育・研修を受けなければ採用されない。患者満足度はカブレラ氏の担当で苦情処理係りでもある。アンケート調査を行っている。どのように医療の質に反映しているのかなどは言及されなかった。 Research部門は米国、英国、ポーランドなどとタイアップして共同研究を行っている。 "KTQ"というドイツ独特の病院機能評価はベルリンで唯一認定された病院ではあるが、客観性、総合性において遅れており、実効は上がっていないのではと危惧される。1/3の医師を臨時休業させて調査を受けたとのことで、日本、米国などと比べて遅れている。

   


[ TOPICS ] [ NEWS ] [ 医療裁判報告 ] [ KENYA ] [ HOME ]