介護保険
 

● わがままたつじいさんの診療日記 ●


介護保険がやってくる Part2


 どうも介護保険に納得がいかないたつじいさん、今度は診察室にせき込みながら入 ってくるなりきりだした。
「先生あの介護保険の話やけど、いっぺんうちの老人会の会合でわかりやすう話し てくれまへんやろか。」
「いいですよ。うちのクリニックでも勉強会しますからまた皆さんにもきてもらっ てくださいよ。」

「ところでそのなんちゃらいう認定うけてからどうなりますねん?」
「要介護認定。そのランクに応じてたとえば一番重症な要介護度5で約35万円相 当の介護が受けられる。」
「あれ、お金はでまへんのか?」
「そうです。現金給付はなし。現物給付いうてサービスで提供するんです。」
「どんなサービスが?」
「訪問看護とか、ホームヘルパー、デイケア、ショートステイ。ケアマネージャが アセスメントしケアマネジメントした結果とケア・カンファレンスで決まったケア プランでサービスを...」

「???? せんせい、日本語でしゃべっとくなはれ。」
「ああ、すんません、えーっと、介護支援専門員が、評価してたてた介護計画をサ ービス担当者会議にかけて、決まった居宅サービス計画によって、訪問介護や日帰 り介護やら...」
「やっぱりわからんわ。わしは万一寝たきりになっても毎日フロに入りたいんやけ ど。そのふろおけ持ってきて入れてくれるのあるんでっしゃろ。それだけでええわ 。」
「ありますよ。訪問入浴。でも毎日は無理でしょう。」
「利用者の希望を聞く、ちゅう話やったけど。」
「そうなんですけど、限度の設定があっていくらワクの中でもひとつのサービスだ け集中的に受けるわけには、」
「なんや、ただで毎晩ふろいれてもろて酒飲もう思てたのに。若い美人のヘルパー さんやったらうれしいな、へへへ。」

「だからそんなわがままはあかんて。それに一割負担やからめいっぱい35万円分 のサービス受けたら月3万5000円はらわんと。」
「なんや、ぽっくり死んだら保険料払うだけで、何もサービスうけられへんからそ んや、長いこと寝込んだ方が得かとおもてたのに。」
「そんな損得のもんだいやないですが。」
「そやけど人生最後のわがままぐらい聞いてほしいなあ。」
「(いまでも結構わがままやけど)もちろん自費やったらOKですけどね。」
「やっぱりわしは介護保険やめや。」
「だから任意じゃないって。」

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