ホスピス
 

「悪性腫瘍」と「がん」について●


 「悪性腫瘍」はまた「悪性新生物」とも言われます。
「悪性腫瘍」には「がん」と「肉腫」が含まれます。
「がん」は皮膚や内蔵(肺、胃、肝臓、膵臓、腸、腎臓、子宮)から発生した悪性腫瘍を指します。一方骨や筋肉や血液から発生した悪性腫瘍を「肉腫」と言います。肉腫には骨肉腫や平滑筋肉腫や脳腫瘍といった固まりを作るものと、血液の悪性腫瘍の白血病や悪性リンパ腫などがあります。

モルヒネについて
 現在使用できるもモルヒネには、数種類あります。
普通のモルヒネは、10mgの錠剤と粉末の薬剤があります。しかし非常に苦く飲みにくいのが特徴です。この様な薬剤を使用する場合、水に溶かしてシロップやワインなどを入れ、甘味などの味を付けて飲んで頂きます。これらのモルヒネの作用時間は5時間と短いのが欠点です。

 この欠点を改造する目的で、MSコンチンという薬剤ができました。MSコンチンは服用しますと体の中で時間をかけて溶け、ゆっくり作用し約12〜14時間効果が持続します。また苦みがありません。
 経口摂取できない人には、アンペックという坐薬があります。肛門からこの薬を挿入しますとゆっくり溶けて吸収され、約8〜10時間効果が持続します。
MSコンチンやアンペックは簡単で使用しやすいので、在宅で使用する時に便利です。

 一方注射薬は、一度に筋肉注射や静脈注射をしますと、体の中のモルヒネの濃度が急速に上がり、治療効果に必要以上のモルヒネが体内に入ることとなり、モルヒネにまつわる色々な副作用っが出現します。施設ホスピスや在宅ホスピスでモルヒネの注射薬を使用する場合には、持続的に一定のスピードで注射のできる ポンプを使ったり、中心静脈栄養の点滴の中に入れ、痛みを取るのに必要かつ十分量をゆっくり注射します。そうすると、眠気や目眩、呼吸抑制といったモルヒネの体にとって悪影響を与える副作用の出現無く安全にモルヒネを使用することが出来ます。

痛みの評価
 痛みの治療においては、その治療効果を判断し、薬剤の増量や変更・追加を行う必要があります。
 しかし痛みは、血圧や体温などのように器械で測定することはできませんし、また採血で測定することもできません。痛みは患者さん自身の感じる度合いですから、医者や看護婦や家族が痛いかどうかを判定することはできず、患者さん自身に測定していただく他ありません。それを医療者が最大限尊重し、痛み治療を行っていきます。

 そして痛みの度合い(スケール)は、あくまでも治療効果について、患者さん、医師、看護婦の共通理解のための道具として使うことが必要です。
 痛みの度合いを測定する方法としては、患者さんの言葉で痛みを表現するVRS(verbal raiting score)や、痛みを0から10までの段階で、どの程度の痛みから線上で示すVAS(visual analogue scale)や、患者さんの表情で痛みを評価するFace scaleが用いられます。

VRS(verbal raiting score)
0:全く痛みがない
1:わずかに痛みを感じる
2:耐えられる程度の痛みがある
3:耐えられない痛みがある
VAS(visual analogue scale)
Face scale
0:全く痛みがなくとても幸せ
1:ちょっとだけ痛い
2:それよりも少し痛い
3:もっと痛い
4:かなり痛い
5:必ず泣くほどではないが、想像できる最も強い痛み
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