ホスピス
 

● 在宅ホスビスケアの課題 ●


提供:だいとう循環器クリニック 院長 大頭 信義

◆最近7年間の活動

私たちのクリニックは、l986年にビル診として開業以来、在宅療養の支援に力を注いできたが、特に、進行したがん患者が在宅での療養を希望する場合には、その往診・訪問看護の領域を姫路市外の近郊市町まで広げて対応している。

 スタッフは、医師1名、ナース常勤2名非常勤6名、作業療法士1名(院内の職員ではなく当クリニックを含めて2力所の診療所と契約してフリ−な立場で活動)、事務スタッフの5名の合計15名である。l997年1月10日現在で、在宅療養者の数35名、そのうちがん患者は5名である。

在宅療養で亡くなられた患者数  図1は、l990年からl996年未
までの7年間に、当院から往診・訪問看護を行いながら亡<なられた、患者さんの数である。
在宅療養の後に施設に入って死亡された方も含まれている。

 l990年以来、在宅療養を希望する方が増え、その結果、死亡数も増加している。特に目立つのは、死亡者の中のがん患者の数の増加である。在宅療養者のうち、がん患者の占める割合は、l997年l月10日現在でもl7.5%であるが、療養期間が短く、入れ替わりか激しい結果として、がん以外の患者の死亡数より相当多くなった。
  がんの部位
   図2は死亡されたがん患者の、がん原発の部位を示している。私が、勤務医時代に胸部外科医として肺がん手術に関係していたことも影響しているかとは思われるが肺がんが最も多く、続いて胃がん、大腸がんとなっており、日本のがん統計による部位別の死亡数と相関している。

 開業当初は肺がんや肺への転移例では、呼吸障害を中心とした症状が激しいために最期まで在宅で療養することは困難なケースも多いかと懸念したが、実施してみると、肺がんl0名のうち、呼吸障害のために、最終的に入院となったのは2名だけであって、多くの場合には、在宅療養で全うでき、どのがんが在宅療養には不向きということはないと考えている。 ただし、意識障害、消化管出血などの在宅療養に不向きな状況が現れた場合には病院などの施設で療養を続ける方が望ましいケースが多くなることは当然である。

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