オランダの病院、苦情処理、保健省のまとめ
1.病院自体は日本のそれと変わりがないが、正面入り口に「苦情処理係」のオフィスがあり、細々とした訴えから医療事故までを受け付けている。
1995年の患者の権利法が制定されたことによる現場での対処である。法整備とそれに基づく人、金を伴ったシステム作りの原点であろう。
2.病院には患者会があり意見を集約しているが、オランダでも直接病院にクレームを付けに行くのは遠慮されるようで、そのためにRPCPが巷間に設けられており、責任を持ち、起承転結をつけた処理を行っている。消費者センターの中にあるのもまた合理的である。
3.保健省では、医療監督部があり、法の下に医療者の審査も行っているが、それほど厳しいものとは感じられなかった。医療事故については賠償保険が破綻し、新たに「相互扶助組織−新しい保険」による補償が再開されている。それに一致して"患者への対応"を組織的に保障することで国民の理解を得ようとしていることは参考になる。
4.医師や医療職の審判の実態、病院における安全管理などについてはこれからという段階かと思われた。医師数、医科大学数などが日本とは比較にならないほど少ないがそれは収入から見れば医師がそれほど魅力的な仕事ではないということに他ならない。
5.臓器移植は"輸入臓器"によってまかなわれているようで社会的にも問題視されている。安楽死も法律で厳しく条件付けられており、日本で言われているほど安易に行われていることはない。
以上、それぞれの国の民族性に応じて、少しずつニュアンスの違う取り組み方をしている。然し、原点には「患者=国民が医療の中心であること」、「それを法制化でシステムとして保障している」、「補償制度は保険会社と行政が協力」して取り組み、決して「Medical
Conflict 医療紛争」を対立関係に導くのでなく、話し合いで解決するという姿勢が認められる。それに「医療者の審判」が同時進行で始められるということは国民の理解も得られやすい。早急に日本でもこれらの施策を応用したいものである。
以上
平成15年12月24日
医療法人 医真会
理事長 森 功
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