● スウェーデン、ドイツ、オランダ三国の視察報告 ●
〜医療の品質とエラー管理〜



オランダ保健省 医療監督部 Public Health Supervisory Service of the Netherlands Health Care Inspectorate
Professor J. Herre Kingma, M.D.,PhD, FESC  医療監督部長
Herbert Plokker, M.D. 保健監督課長
J. Vesseur, M.D., MPH 保健監督主任

 オランダは人口1600万人 医師40、000〜60,000人?ホームDR.は8000人(人口2、500人に1人の割合)医療スタッフ 12,000人
3000の医療機関があり、病院は100 医科大学は8大学(国立大学:4、市立大学:2、キリスト教関係の私立:2)である。
医学教育は18歳から6−7年制で2500〜3000人が毎年入学する。80%が最終的に医師になる。国家試験が無く、大学毎の試験で認定される。2/3は専門医となり、1/3は家庭医である。会社や保険関係に務める医師も少数だがいる。
専門医になるには6年の教育の後に3年の専門研修が必要で平均35歳である。一方、家庭医は30歳が平均である。医師の80%は"自営業"病院の医師も常勤の勤務医でない場合が多い。
年間死亡者数は20万人で、死因は心臓血管病、癌、呼吸器疾患である。医療事故での死亡は判明しているだけで400件/年で、実際はこの5−10倍あるものと考える。
年度予算は、450億EUで、国民一人当たり2500EUである。
病院は400−500床で、12,000万EUの予算がつく。
保険は3種類あり、慢性、長期療養は強制加入の介護保険から支出される。
医療保険は日本の医療保険に当たるもので、疾病基金保険63%、民間保険35%、公務員保険2%で国民皆保険ではある。
特別なケアーを求めるヒトには別の民間保険がある。
保険の給付がケアーに要する"期間"によって定められており、年齢ではないために若年の重度障害者も長期療養保険=介護保険でカバーされる。
医療需要は増加しており、15万人が"医療のWaiting List"で数週〜1年ほど待たされている。

臓器移植はあくまでも個人の自由意志であるがドナーはカードを保有していなければ認定されない。
移植はインターネットで"臓器輸入"されることが多く、問題視されている。
監督局の医療機関に対する評価などは遅れている。保健省には属しているが監督局は保健大臣直属機関で独立して機能している。
1995年の"患者権利法"以降積極的に法整備が進められてきている。
"医療者の義務"を8種類定めている。医師、看護師、理学療法士、歯科医師、助産婦、心理療法士(2種類)、薬剤師である。
"医療施設の質法"詳細不明              −再調査必要―
"患者の権利法−苦情処理法"全ての医師は苦情を受け付ける窓口を設けなければならない。
"医療契約法"詳細不明                 −再調査必要―

 苦情処理法では、スウェーデンの"No Fault法"を採用して補償と審判は分離している。苦情処理委員会は"苦情についての評価・判断(過失の有無など)"は行うが"審判"はしない。マスメディア、医療機関などからの報告で死亡事故などの重大な事故があると、苦情処理委員会に"強制的に審査"を委ねる。医療者の審判は"風紀委員会"で行う。

安楽死法
 厳しい条件下で許可される。生命予後が無い、事故の意思表示がある、セカンドオピニオンが必須といった条件があれば可能である。事後調査は行わない。
審査委員会は全国の5箇所あり、法律家(前裁判長)、医師、倫理学者で構成し、安楽死に疑問があれば"検察庁"に届けられる。

医療監督委員会(風紀委員会とは別)
医師に精神疾患、麻薬常習などが認められるとその資格審査を行う。

病院内の安全管理対策はいまだ遅れており、監督局の権限強化し、病院内の安全管理システムの整備を今後図る予定である。

   


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