ホスピス

● 日本のボランティアは、徴兵制? ●

提供:(株)マチュールライフ研究所
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 先頃9月17日に開催された「全国介護保険担当課長会議資料」に介護予防・生活支援サービスについて以下の記述がある。

 「生活支援という観点からは、要介護者や要支援者を含め、一人暮らしや高齢者のみの世帯などで…また、軽度、一時的な生活支援として、例えば定期的な安否確認や食事の宅配の手配、寝具類等の洗濯の手伝いなどのサービスが考えられるが、これらについては主として健康な高齢者をはじめとする地域住民やボランティア等が地域ネットワークとして担っていくことが想定される」とある。

 果たしてボランティアは期待できるのであろうか。そもそもボランティアというのは周知の通り自発的な志願兵である。ところが日本のボランティアの実態は、婦人会や老人会という既存の組織にもう一枚ボランティアという名を着せたような形であることが多い。つまり本人の自発的な意思より組織的にボランティア活動として徴兵制的に動員されるのである。

 ある地方の町では、ボランティア活動をするためのボランティアを動員するのに、各字を回る送迎ボランティアがいるという笑えない現実がある。また、ある町の事務組合立の老人保健施設へのボランティアは、その地区の婦人会に割り当てられ、役員に当たった人が交代でノルマをこなしている。聞けば会員さんまで広く言い出さなくて、仕方なく毎年役員同士でやっているという。

 欧米では、宗教的な背景からボランティアをすれば天国へいけると言うことが大きな動機になっているらしい。また、学業の単位が修得できたり、税の減免などボランティアを支える背景が日常生活に根付いているようである。かつて訪ねたボストンのナーシングホームでも地域のある夫婦がオンブズマンとしてボランティアをしており、入所者と施設側との中間に入り諸問題を調整しているのを見聞きしたことがある。聞けば身内が入所していないことが条件で中立的な立場を確保しているとのことであった。また、ボランティアをしていなければ地域で浮いてしまいボランティアをしてもらえないこともある「ギブ&テイク」で、まず「ギブ」ありきということであった。

 ボランティアが、日常生活になかなか根付いていない日本で将来、地域ネットワークでどの程度見守り等を担っていけるかが些か心配である。あまりにも何でも二言目にはボランティアと言い過ぎるのではないだろうか。二重籍の基準該当ボランティアではなく真の自発的なボランティアがそれぞれの地域で根付き、活動の輪を広げていけるようインセンティブを考える時期ではないだろうか。向こう三軒両隣、日本型の肩肘張らず身近で出来ることからはじめてはいかがなものであろう。

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