介護保険
 

● 公的介護保険 ●

まだまだ浸透していない?介護保険制度

提供:(株)マチュールライフ研究所
http://www.cyberoz.net/city/maturenet/

 
 
 介護保険制度が始まり、不安含みの中約1ヶ月が過ぎた。 報道されている申請状況等をみていると、当初考えていた人数より1割程度少ない申請者数となっているようだ。

 私どもが、「介護保険事業計画」策定のお手伝いをさせていただいた自治体でも、同様の傾向がでており、やや少ない申請状況となっている。

 思うに、どうやら昨年11月に発表された特別対策で第1号被保険者保険料の徴収猶予のため、自分が本来ならばいくらの保険料を負担しなければならないか、高齢者自身に通知していないことや年金から天引きされていないため高齢者自身がまだ身近な出来事として実感できていないようだ。

 今年の1月28日に開催された「医療保険福祉審議会(合同部会)」の質疑では、柿本委員(奈良県知事)が「保険料の徴収額を、個々の被保険者に知らせた上で、徴収を免除するべきではないか。条例の本則を見ればわかるというのではなく、そこまできっちりとやらねば個人の意識の問題に関わる。特別対策としてこうなったと、もっとはっきりわかるようにすべきである。」と質問している。

 これを受けた厚生省の回答は「賦課額の通知は一人ひとりにすることになる」ということであった。 わたしどもの知る範囲では、4月に入り一人ひとりに賦課額の通知をした自治体はなく、また厚生省からもそのようなことをすべきであるとの通達は受けていないということであった。

 柿本委員の言うように個人の意識への啓発や情報提供などの働きかけがなく、10月から本来の保険額の半額が徴収され、その時になってはじめて高齢者が気付くようでは、返って混乱を招くことになるのではないだろうか。
 笑い話ではあるが、ある自治体では、2号被保険者に当たる職員が4月分の給料を見て手取りが減っている原因が分からず、総務課へ問い合わせ暫し混乱したそうだ。
 一番介護保険を理解しているべき自治体の職員でも関心はその程度しかなく、このことからみても住民の意識はおよそ推し量れるのではないだろうか。

 高齢者にしても、振り込まれた年金額がいつもより僅かでも少なくなっていると不安になるものだ。昨年度の収入が確定したこの時期に、第1号被保険者に対して賦課額の通知をしておき、心の準備をしてもらっておくことの方が賢明ではなかろうか。
 問題の先送りではなく、早い時期から制度への理解を深めるため、高齢者にとってつらいことでも、間断なく啓発や情報提供に努めることが重要であろう。

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