介護保険
 

● 公的介護保険 ●

「介護保険が日本経済を救うのか?」

提供:(有)リファレンス


 介護保険の市場規模は、スタート直後(2000年4月)で保険適用分野が約4兆円、適用以外も含めると全体で約9兆円と試算されている。25年後の2025年には要介護者が現在の約2倍になることもあり、市場規模も約数十兆円と予想されている。 その市場規模を見込んでか、大企業を中心に数多くの企業が介護ビジネスに参入し、それらの企業の株価も上昇しているようだ。
毎日のように何兆円という数字や○○会社が××を展開などの内容を新聞やニュースなどで見ていると、バブル全盛期の日本を思い出してしまう。今まで福祉ということすら考えていなかった人達が、この福祉分野に参入・投資をしなければと、お金の亡者に取りつかれた姿を見ていると、本当にこの世の世紀末を見ているようである。
 今年に入ってから、弊社にも何十件もの企業や団体・個人の方からの相談が持ちこまれている。「社会福祉法人をつくりたいのだが。。。」「ホームヘルプサービスをしたいけど。。。」「グループホームをつくりたいのだが助成金は。。。」など、相談内容はまちまちだが共通して言えることは、福祉(現場)についての知識が全くないことである。
 どんな分野でも初めて新規参入する場合は、ある程度事前に調べリスクも覚悟しているものであるが、相談に来られる方々は国や自治体からの助成金や様々の支援を期待しすぎているように思える。
 目先の事(お金)だけを考え、先々の運営方法(理念・資金・人材)やサービス内容については二の次である。本当なら運営方法やサービス内容を考える事が先決なのだが、それらを考える知識も情報もないのだから仕方がないのかもしれないが。。。

 しかし、これからもっとこのような企業・個人が増えるだろう。
国や行政が新たな産業分野として医療・福祉関係を位置づけているのだから、当然のごとく注目してしまう。
利益を追求する様々な介護サービスが登場し、業者同士の競争がはじまるだろう。
その競争に敗れるなかには、質の悪い業者や力のない小さな業者も淘汰されていくのは確かだ。
ただ、質の悪い業者が淘汰されていくのは勝手だが、今までに質の良いサービスを提供してきた実績のある小さな事業者などは、あとから乗り込んできた大手の企業などにごっそりお客さんを持っていかれて、ということも増えてくるだろう。 それが「ビジネスだ!」と言ってしまえばそうだが、 今までビジネスとしての市場をオープンにして来なかった行政が自分達の手に負えなくなったから「いらっしゃい、いらっしゃい」と何も考えずに招いているように思えて仕方がない。

表舞台に担ぎだされた福祉と医療が今後の日本の景気回復として考えているのなら、あのバブル時代のように、一緒になって躍らされないようしっかり統括のできる行政とそれに目をやる私達も厳しくみつめて行きたい。
バブル時代のつけを国民が被ったように、福祉バブルのつけも国民が被らないよう願いたいものである。

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