介護保険
 

● 公的介護保険 ●


「介護報酬の地域差は必要か」


提供:(株)マチュールライフ研究所
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 7月12日、老人保健福祉部会の「介護給付費部会」において、介護報酬における地域差の勘案方法について審議された。
  昨年秋の中間とりまとめでは「現在の施設に係る措置費の事務費等から円滑な移行、介護サービスの地域区分の主たる要因は人件費であることが考えられること等から、制度創設時には国家公務委員の調整手当の級地区分を基本としつつ、今後必要に応じ客観的な指標等を踏まえ、必要な補正を加えて用いることが適当である。」とされている。

  審議委員からも、「国家公務員の級地区分は現実に不都合が生じており、このまま適用されることは反対である」という意見が多く出ている。大阪府下においても、道路を隔てた隣の市では調整率6%〜10%となることや現実には暫定地域や準地域というように区分が複雑になっており、すでに不公平感や矛盾点が多く、ほころびが生じている。

  さりとて他の方法が簡単にあるかと言えば無く、従って必要な補正を加えて用いるというところに落ち着くのであろう。しかし、図らずもある委員から「そもそも格差が必要なのかという気になってきた。物価でも実際に東京の方が安いものがある。」という意見も飛び出した。

  措置制度からの移行のため地域差が継承されるのであろうが、3つの介護保険施設間の差、地域差、入所者の介護度別の差などから報酬がかなり複雑になることが考えられる。
  居宅療養管理指導などでは、医師・歯科医師の技術等について地域差を考慮しないとしているが、地域区分の主たる要因を人件費というならば、地域による医師・歯科医師における人件費の格差があるのが現実である。福祉施設の施設長、寮母などの地域による人件費の格差が報酬に反映し、医療施設の医師や看護婦などの人件費は報酬に反映せず全国統一価格というのでは、相互の制度間で整合性がとれない。  

  今までの措置制度下においては、所在地が丙地にある特養施設では、食料品等はすべてが安く手にはいるわけではない場合が多い。米や野菜などは地域のJAから、その他の物品等も地元業者からの優先的な購入が半ば強制され、競争の激しい都市部からは安くてもなかなか購入しづらいとのことだ。価格競争がないため、結果的には高いものを買うことになる。  

  理論的に矛盾のない地域分けが出来るなら別だが、措置制度がなくなり施設の経営責任において施設運営がなされる以上、ここはあまり細かい報酬設定をするよりも医療機関の診療報酬同様に全国一律の単価ではいけないのであろうか。再考を願うものである。


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