● 公的介護保険 ●
厚生省医療保険福祉審議会
老人保健福祉部会傍聴記(平成11年4月)
提供:(株)マチュールライフ研究所
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4月5日、厚生省医療保険福祉審議会の老人保健福祉部会に対し、「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準(案)」が諮問された。
10年度試行的事業では要介護1から要介護度5の区分の刻みを要介護時間35分ごととしてきたが、今回の案では20分ごとの刻みとされている。
例えば、10年度試行的事業の介護度判定で要介護度3(100〜135分)と判定された人では、今回の案では要介護度4(90〜110分未満)、要介護度5(110分以上)のいずれかに判定されることとなる。同様に試行的事業で要介護度1(30〜65分未満)の人は1(30〜50分未満)または2(50〜70分未満)となり、試行的事業で要介護度2(65〜100分未満)の人は2(50〜70分未満)又は3(70〜90分未満)となるようにややランクが上がることとなる。
また、審議会で問題点の多かった一次判定のソフトの中味については、ブラックボックスと言われていたものを樹形モデルを使って解説した。一次判定の流れを各保険者である市町村の担当者が手でなぞっていってもおおよその推計が出来て説明が付くように改善されたものが示された。
少し理解に苦しむのが、今回示された介護時間の区分案である。10年度試行事業で今ひとつ納得のいかなっかた16万人のデータをもとに10年度実績を踏まえて検討されているのである。説明の付きにくい判定が出たため、一次判定ソフトの改良をしているのに、その不備だったソフトによって出された10年度実績の介護度分布をもとに9ケースのシュミレーションを行い、その近い数字を取り上げていることである。
実際に審議会では、委員からも「改良ソフトでの検証事例が少なすぎるのではないか」という意見もあり、今回のソフト改良が以前の問題をすべて解決しているわけではない。もっとも完成度100%というわけには行かず、やりながら改善すべきところはその都度改善していくと言うことで審議会のコンセンサスを得ているのではあるが・・・・
まだ諮問された段階で4月14日の審議会で再度検討が加えられた後の答申となる見込みである。
ここ最近の審議会では、年度末やスケジュールの関係から重要な案件が諮問され、次週には答申が欲しいという運びになっており、各委員からも「審議が不十分ではないか」、「急ぎすぎではないか」と言う意見が多く出されている。多忙な委員がほとんどで、年度末や年度当初で時として出席がかなわず毎回の審議過程を経ずに答申というケースもまれにみられることとなる。毎回2時間の審議時間で、事務局からの説明が1時間以上にも及び実質的な意見交換が十分取れないことが多い。委員長からも、審議時間をカバーするため文書による質問・意見を推奨しているが、委員からは「極論すればファックスのやりとりで済むと言うことになる。審議会の場で、各員がどのように考えているかと言うことで審議すべき」であるとの意見が強く、あくまでも審議会での意見交換を求める声が多く聞かれている。
いつも出来るだけ多くの委員からの意見をといいながら、約20人がそれぞれの発言する時間は単純にみても事務局の回答を含め1人3分あるかないかである。いつも時間切れで、言い放しや審議未了でまたの機会といいながら先送りされたままになっているものも多くある。審議時間の延長を含め各委員が十分意見を出せるような審議会運営を期待したい。
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