● 当世福祉事情 ●
提供:(株)マチュールライフ研究所
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先頃、TVの高視聴率で話題となったビューティフル・ライフが終わった。美男のカリスマ美容師と車いすの美女の恋物語、いずれも今風の設定である。
視聴率の高さを裏付けるように、社会人で介護福祉士やヘルパーなど勉強して福祉の世界を目指す人が多くなっている。
最近、ある福祉専門学校で見た光景だが、介護福祉士めざす講座で1クラス60人前後が3クラス、合わせて約200人ほどが受講している。その中には、既に福祉現場等で働いている人は1〜2割ほどいるが、残る8割は、特に経験等バックグラウンドがあるわけでもなく、「これから福祉でも勉強してみようかな」と考えているような人たちであった。テレビのコマーシャルなどの影響もあり、これからは福祉の時代という若者の時代感覚であろう。
このような状況を目にすると、高齢社会の進展と介護保険の施行など、平成元年12月に発表された「ゴールドプラン」当時の市場とは隔世の感がある。このゴールドプランでは、目標年度の11年度におけるホームヘルパーの目標数は10万人であった。当時、ホームヘルパーのボスであった某先生は、10万人が達成できたら、厚生省の前で逆立ちしてみせると啖呵を切った。そのくらい厳しい数字だったのだ。
しかし、現在では、既に各自治体でのヘルパー養成や民間事業者の参入などで新ゴールドプランの17万人を達成し、ゴールドプラン21では平成16年度35万人を目標にしている。
そんななか、先日、20代後半の若い女性からある相談を受けた。 現在、友人とホームヘルパー2級の講習を受け、近々修了証がもらえるとのこと。終了後、自分たちで介護保険のサービス提供事業者の申請をして訪問介護事業をやりたいとのことであった。規制緩和とともに女性の新規起業を考える「志やよし」とはいえ、自動車教習所で免許を取得したドライバーが、いきなりタクシー営業をするようなものである。
実際の現場は厳しく、実技で習ったようなわけにいかない。そんなに甘いものではない。あまりにも安直な考えに、もっと現場を体験し、利用者のニーズに応えるだけの技術を磨き、経験を重ねることが大切で、起業はそれからで良いのでないかと諭した次第である。
TV等の影響もあり、多くの人がこの分野を志している。良い人材が育つことは、今後の高齢社会に向けて大変良いことであるが、あまりにもこの分野を簡単に考えすぎる怖さを垣間見た次第である。
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