医真会では平成16年12月1日から「医真会総合クリニックス」を、総合病院の隣に開設した。
その目的は以下の通りである。
1) 外来診療は(1)“急性期疾患の初期診療” (2)“慢性疾患の継続診療”が中心である。
総合診療科にて(1)を行い、鑑別診断と的確な病態生理の把握による緊急処置の有無の判断およびDispositionを行い、適切な専門科にゆだねる。
完全予約制度は、待ち時間の短縮、診療内容の充実につながり好評である。
2) 総合クリニックスの外来診療は、“専門診療の集合体”である。
コンサルテーション、情報管理、セカンドオピニオンなど相互に共通する部分と協力関係が合理的に対処しうる。他の診療所との関係もより双方向に密接な関係を深めうる。
乳腺・甲状腺外来、手の外科外来・漢方外来、リウマチ・膠原病内科外来など他の施設で多忙な各専門家にも自由に診療場所を提供できる。
診療内容の標準化は、診療自体が常に1医師の診療内に閉じ込められ、客観的評価を得ない状態では為しえない。日常発生する多種類の疾病を、時機を逸せずに他の専門医の意見を求めることが出来る環境が確保しうる。
医薬分業はより徹底しうる。
3)病院施設を活用することにより「合理的、妥当な検査」、「救急診療」が短時間で行いうる。
4)COPDチーム(Ishinkai COPD Care Team: ICCT)による総合的、継続的管理といった臨床疫学的なアプローチが広がる。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療もまた然りである。
5)電子カルテによる「診療録の整備」が可能になる。日本語記載を原則とし、検査データも含めて「プリントアウトしたカルテを患者に手渡すことが出来る。
それによって患者は読解(説明)から、より正確な理解を得、出来るだけ深く自身の疾病の診療方針を納得する。医療安全にも寄与することは疑いがない。
6)新しいタイプの準開業医的診療が可能になる。
診療所医師と同様な外来診療を主体とする医療を求める医師に施設を提供しうる。
医師が診療所開設の経営リスクとソロプラクティスの恒常的な質的課題を払拭して、契約(歩合制度から診療報酬スライド型など)による収入確保をし、自己の専門性、総合性に基づいた診療を継続しうる。勿論、入院診療は登録医に準じて可能である。
外科系医師は生涯その専門を中心に診療可能となり、突然内科系診療科を標榜する必要はなくなる。
情報開示は、日常的に簡便に行われることが肝要である。セカンドオピニオンもまた然り。
21世紀の医師は、自己の診療に自信と責任を持ち、妥当な報酬−それは決して米国のような高額ではない−のもとに、住民からの信頼と尊敬を得ることが必須であろう。
2005年7月15日
医療法人 医真会
理事長 森 功