介護保険
 

● 公的介護保険 ●

「座して死を待つか、自然淘汰される社会福祉協議会」

提供:提供:(株)マチュールライフ研究所
http://www.cyberoz.net/city/maturenet/


  「採算が合わないではなく、採算を合わすのですよ」 ある町の社会福祉協議会の事務局長に対する新たに進出してきた特別養護老人ホーム施設長の言葉である。
この町では、現在町直営でホームヘルプ事業を実施している。前述の特養で介護保険の導入を見込み2級ヘルパーの養成を委託している。閉校式は11月で約30名ほどが修了するらしい。この修了者の受け皿として社協の指定事業者申請を期待しているが、社協は名乗りを上げず躊躇しているのである。

 介護保険下で今後どうしていくのか姿勢を鮮明にせず、相変わらずの優柔不断ぶりらしい。 新参者の特養としても、社協がやらないといえば堂々とホームヘルプ事業に乗り出す意欲はあるのだが、後々に特養が社協の事業を横取りしたといわれかねないので町と社協の打ち出す方向性を待っているのである。

 他町でも同様に、今回の介護保険を睨んで社協が指定事業者として積極的に参入をするところは少ないようである。従来通り、町からの委託の中で福祉事業を継続していくという意欲のなさである。多くの町で、福祉担当者から「うちの社協は当てにならん」「社協に期待できない」「町以上に融通がきかん」という声を聞く。

 宜なるかな町の主導で法人格を取り、形は独立法人であるが財政的にもおんぶに抱っこという実態が長く続いたため、寝たきりゼロを推進する社協そのものがそもそも「寝たきり」なのである。中には結婚相談事業が主たる事業という社協もある。毎年の事業計画も前年、前々年と変わりなく、年度が替わっているだけのもの。社協発展計画という名称は勇ましいが、中味に特筆すべきものは何もないという社協があまりにも多い。 かねて小生もそんな社協に「社協不要論」を持っていたが、今回の介護保険制度によって声高に叫ばなくても自然淘汰されるのではないかと今更ながら心配するのである。 福祉で採算がとれなくて当たり前、もともと効率が悪いものという概念と限られた予算の中で今日まで来ているため、冒頭のように最初から独立採算では出来ないと決めてかかっているようだ。

 その一方で、早くから危機感を持ち自分の手で、足で稼がなければ生きていけないという自覚のもと地域福祉を支えるのだという社協も存在する。 現在、委託している事業が介護保険になればどのくらいの収支になるか、仮単価を待つまでもなく早くから事業シュミレーションを繰り返しているのである。職員も草野球方式で一人がヘルパー兼運転手兼事務員というように何役もこなすのである。「私は専門職でございます。これだけしかやりません」という甘えはここでは許されない。全員攻撃、全員守備のオールランドプレイヤーが求められている。事務局長も公的な天下り組ではなく、地元金融機関の0Bである。

 また、現時点では行政との繋がりがあるため、この際備品の購入や営繕等、今年度の予算で出来るだけ町におねだりしておこうという厚かましささえある。 なかなかこういう社協は少ないのではないか。 都市部と違い地方の町村では社協の姿勢如何でサービス供給力が問われる。当然ながら社協は高齢者ばかりでなく児童福祉、障害者福祉、地域福祉など全体的な福祉を活動の根本においているのであるが、あえて言う「意欲なき社協は去るべき」。
介護保険を機に生まれ変わる社協の今後に注目したい。

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