介護保険
 

● 公的介護保険 ●


「保険料が安すぎる??厚生省ワークシートから」


提供:(株)マチュールライフ研究所
http://www.cyberoz.net/city/maturenet/


 
 5月中頃より、各自治体において厚生省からのワークシートを使って概算要求に使う保険料の試算がなされている。  
  各県とも指導方法が異なり、兵庫県では一度入力されたものを元に各町のヒアリングを実施している。京都府や滋賀県のように府県の締切日までに提出を求め中途での指導を実施していないところもある。また、大阪府のように厚生省のワークシートを使わず、府独自のワークシートでの入力および提出を求めているところもある。

  当社でもいくつかの自治体でワークシートを使い試算したところ1500〜1900円とかなり安く算出された。保険料が安すぎる大きな原因は、基盤整備率が低すぎることである。
 基盤整備率は、「利用希望率×供給率」から求められる。入力に際してのマニュアルでは、「供給可能な平成12年の供給量を入力すること」とある。
 現実には、この数字がかなり低い水準にある。訪問介護は週2回の訪問が限度である。訪問リハビリや訪問入浴は、現状実施していない自治体もあり週1回のサービス提供ができれば良いほうである。通所介護も週1回の利用が現状である。 厚生省が示す参酌標準の回数からは程遠い。

 一方の利用希望率もかなり低い実態が出ている。アンケート調査におけるサービス利用意向に対する問に、「わからない」と答えた人が40%以上もあり実際の利用意向が反映されていない。「利用したい」と答えた人も週何回という具体的な回数を答えた人のみで平均利用回数を計算している関係上、かなり低い利用意向となっている。訪問系・通所系各サービスとも、平均希望回数は週1回を下回り0.8回とか0.5回という低い希望となっている。」 この両方を掛け合わせて出てきた基盤整備率は、厚生省の言う40%をはるかに下回り10%台の数字となっている。もっとも厚生省の示す平成12年度の基盤整備率40%というのはかなり高い数字で、この数値をクリアする自治体は1〜2割以下でないではなかろうか。

 現状の措置制度下での「サービスの利用意向」はかなり低く、アンケートの数値ではこの程度の保険料になるのは当然である。もっとも再計算で納得のいくまで数値を変えて良いとされているが2500円まで上げるとかなり根拠が希薄になる。実際の供給量もバラ色であり、利用意向もかなり現実とはかけ離れた数値でなければならない。非常に恣意的な数字となるのである。これではまず2500円ありきで、担当者の気持ち如何であるといってもいいのではないだろうか。

  まさに簡易な保険料の算出の仕方である。全国から寄せ集めたこれらの数字をもとにこのまま8月に厚生省が大蔵省と12年度の概算要求交渉をすれば、かなり低い金額とならざるを得ないのではないか。その結果、全体的に低い保険料であるが、サービスレベルの低い介護保険制度となり、福祉施策が現状より後退するのではないかと危惧するところである。


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