ホスピス

上手に医者にかかるコツ ●

提供:さくらいクリニック 院長:桜井 隆
  読売新聞 「今日のノート」掲載



 医者は医療の専門家、でも、、。
 ”上手に医者にかかるコツ”というのを医者の私が自分で書くのもヘンなもんです が、 ”上手に患者さんにかかられるコツ?”というのもおかしいし。医療の現場 などで人間関係でさまざまなトラブルがあったり、、またいい出合いがあったり、 、そんな話をぼちぼちしてみたいと思います。

  とかく医者とは話しにくい、聞きたいことも聞けないし、言いたいことも言えない、という方も多いかと。たまに話す機会があって説明してもらっても専門用語ばっかりでちんぷんかんぷん。
「いまさ ら聞きなおしたら、おこられそうやし、わかりました、どうも、、と言うて帰って きたもんの結局どこが悪いんか、どうすればええんか。あれ、風呂に入ってもよか ったんかなあ?」なんていう事も多いのでは。

  一方医者の言い分としては、「あんだけ説明したのに、また同じこと聞いて、だからこの前に言うたように検査してみんとわからんて。検査がこわいやなんてわがまま言うて、そんなら勝手にしたら、 、。」なんていう風に心の中で思っていたりする。
こんな行き違いがいったいどう しておこってくるのでしょうか。

 一番の問題点は医者は医療の専門家ではあっても、話を聞く、インタビューの専門家ではない、ということです。先日、「先生・・すまんけどなあ・・・」という本 を出版した関係で某ラジオ局に出演させてもらった時のこと。生放送で原稿もなく 、簡単な打ち合わせだけで本番のスタジオ入りを待っている間、だんだん緊張してくる自分がよくわかりました。ああ、待合室で待っている患者さんもこんな不安な気持ちなんだろうなあ、、と。いざ本番が始まると緊張しているにもかかわらず結構いろいろしゃべれてしまいました。それもひとえにアナウンサーとパーソナ リティの巧妙なインタビューあってこそ。

CMの間に、「いやあおかげ様でなんとか思っていたことをしゃべれました。」というと、「そりゃあ先生が医療の専門家であるように我々はしゃべったり話を聞いたりするのが仕事ですから、、」という お答えが。なるほどそうですよね、医者もインタビューの専門家、とまでいかなく てももう少し患者さんの気持ちを聞きだす術を持っていれば、ああ、今日はなんだ か話を聞いてもらって痛みがおさまったようだ、と患者さんが思ってくれるような 診察ができるのかもしれませんが。
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