ホスピス
 

『第1回ホスピス症例検討会』より

大頭 信義
症例提供:だいとう循環器クリニック

【症例紹介】
O.Mさん: 26才、女性、姫路市、会社員
病   歴:

   H5.はじめ頃−右大腿部痛出現 「大腿骨肉腫」
       4.27−国立姫路病院整形外科にて同 骨頭置換術(人工骨頭)
          病理検査「巨大細胞腫瘍」
      11.26−肺転移あり、両側の肺部分切除(国立・呼吸器外科)
     H6.5中旬−右肩甲骨に転移、整形外科にて放射線療法-----無効
        6−巨大な縦隔腫瘍出現、整形外科にて化学療法-----無効
      7.23−より4日間、呼吸困難感にて神戸アドぺンチスト病院入院
       8.4−13O/分の頻脈あり、アドぺンチスト病院外来より、
          だいとう循環器クリニック紹介される

家族構成:両親と3人暮らし、結婚した姉が尼崎在住

経  過:

    初  診−H6.8.5、本人は来院できず、母、姉、義兄による相談
    疼  痛−6月頃より色々な箇所の痛み 右肩甲骨・上腕、腰部、左側胸部、頭痛
         アドぺンチスト病院から鎮痛モルヒネ剤MSコンチン錠投与されていた
         他の薬剤 デカドロン(副腎皮質ホルモン)など
     H6.8.5−より往診姶まる
         この頃よリ嘔吐も頻発するためコンチン錠とアンぺック坐剤の両剤を使
         い分けながら鎮痛をはかる
       8.13−「アモバン(入眠剤)十分には効かず、それでも5時間くらい眠れたかな」
         「ボルタレンでだるさが少しとれるくらいかな」
          朝食:みそ汁、 昼食:ホットケーキ、ジュース
      8.18−ジュース型の栄養剤(エンシュア・リキッド)開始
      8.20−右肩甲骨に腫賑現われる、療養の部屋にエアコン、ネブライザ届ける
      8.25−初めてチャプレン訪問中(アドぺンチスト病院から連絡、姫路の方)
      8.27−せき込み多い、コンチン錠 30mg×6回
      8.31−コンチン錠 40mgを3時間毎でも効かず、右上腕一肩の痛み
          訪問時ボルタレン坐剤挿入、ベット上で排便
       9.1−呼吸困難、右無気肺にて国立.呼吸器外科へ緊急入院
         入院後、右肺炎と診断される
       9.3−10:00頃死去された

介  護:主として母親、ときに尼崎の姉

在宅訪問回数:19回/在宅療養−28日
【検討事項】
1.各医療機関の連携
今回の症例では、国立姫路病院の整形外科・胸部外科、アドぺンチスト病院ホスピスおよび
だいとう循環器クリニックの対応・連携がとてもうまくいったと思う。だいとう循環器クリニ
ックを中心にそれぞれのDrがお互いに知り合いであったのも良かった。
2.骨転移と鎮痛
MSコンチン錠を3時間毎に服用しても骨転移の痛みはとれなかった。
3.鎮痛剤モルヒネについて
これまでの、医療では痛みに対しての配慮が少なすぎた。モルヒネ剤使用の原則は「痛みが
とれるまで」ということである。
4.若年者と死の問題
この患者は、若い方だが、キリスト教の支えがあったから良かったのだろうか。また、この
問題から発展して、「告知」がとりあげられた。
(Dr1)まだ迷っている
(市民1)どんな場合にも本人に話すぺき。たとえ自殺という結果になっても
5.チャプレンの存在、役割、宗教者の関与
チャプレンの人間性の違い、各自の好みの問題
人格よりも、日頃の接触の積み重ねによる信頼関係を重視したい。
6.この症例検討会の活動、運営について
次回は「告知』をもう少し詳しくとり上げよう 
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